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初秋のきらめき、センニンソウ

(所沢市HPふれ里だより平成25年9月号」より)

また記録を塗り替えた今年の夏。木々もどことなく元気がないように見えましたが、少しずつ秋の気配が見えるようになってきました。

照りつける日差しの下、センニンソウが涼やかに咲き始めています。花期は8月~9月頃で、日本全国の日当たりのよい道ばたの低木林や林縁に見られる、つる性の半低木です。

花の直径は2~3センチで白い花びらが4枚あるように見えますが、これはがく片で、花びらはありません。多数の長いおしべと複数あるめしべが繊細な印象を与えます。まだまだ残暑の残る時季に多くの白い花は遠目からもそれとわかり、一服の清涼剤のようです。

とはいえ、牛が食べると歯が抜けてしまうと言う意味の『牛の歯こぼれ』や、『馬食わず』という別名があるように、棘も無く道ばたにあり、牛や馬が食べそうですが、茎や葉に毒があります。
汁が付くと火ぶくれ状の皮膚炎を起こし、誤って飲むと胃腸炎をおこします。ここはそっと手折らず眺めるのが良いようです。
毒と薬は表裏一体。根を鎮痛剤に用いたり、葉や茎を扁桃炎に塗るなどされてきましたが、毒性が強いので、危険でもあるようです。花言葉は『安全』『無事』だそうですが。

『仙人草』と呼ばれるようになった理由は定かでありませんが、種子に白くて長い毛が密生することからそれを仙人の髭にたとえたとか、白髪にたとえたとの説があります。
晩秋の野で、仙人に出会えるのも花のあとの楽しみです。扁平な種子は空飛ぶ仙人よろしく風に運ばれていきます。

8月に入ったころから姿をちらちらと見かけるようになったイチモンジセセリは9月ころにはその数を急激に増やします。マメ科の花と共に北上を続けてきたウラナミシジミに今年は出会えるか楽しみです。
日中は、ツクツクボウシが多くなったセミの声が夏を惜しむようにも聞こえる中、数を減らしていた野鳥の声が賑やかになります。夜にはエンマコオロギ、カネタタキ、ハヤシノウマオイなど鳴く虫の合唱が盛んになってきます。
少なかった花も一気に数を増やし、季語『花野』が拡がります。キツネノマゴ、ユウガギク、イヌコウジュ。アキノエノコログサ、チカラシバ、カゼクサなどイネ科の花も多く見られます。
アオハダの実は赤く熟し、夏の間咲き続けていたクサギは、咲き残る花の横に実を結んでいます。
ナツアカネに加え紅く成熟したアキアカネのオスも見られるようになります。そこかしこに秋が見つかることでしょう。


センニンソウ

カネタタキ

アオハダ


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