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小春日和にはルリタテハと

(所沢市HPふれ里だより平成26年11月号」より

今年は久しぶりに『秋』があったような気がします。朝夕冷え込む日が続いていますので、美しい紅葉が期待できますが、長引く風邪に悩まされている人も多いとか。
例年より早く咲き始めたチャノキやコウヤボウキがまだ楽しめます。賑やかなカケスやヒヨドリ、シベリア南部・沿海州あたりから渡って来たジョウビタキの声も聞かれます。

今年は11月7日が立冬で22日が小雪。暦の上では冬ですが、生きものがそれぞれに冬支度をしている晩秋。イロハモミジ、ツタなどの紅、アオハダやイチョウなどの黄、コナラやクヌギなどの茶と、木々はひときわ輝きます。幼虫で冬越しをするヤマトシジミの成虫もまだ見られ、成虫で越冬するルリタテハは陽だまりで翅を広げてひなたぼっこをする姿が見られます。

ルリタテハは、日本全国の主に低山地から平地の樹林地で普通に見られるチョウですが、街中の公園や食草があれば庭でも見られます。このあたりでは初夏、夏、秋の3回発生し、翅の裏面が夏型では地色が黄褐色を帯び明るく、秋型では黒みが強くなります。
花に来ることは少なく、樹液や腐敗物などに好んできますが、翅を閉じていると樹皮と一体化してなかなか見つかりません。絶妙のグラデーションは見事な芸術作品のようです。
その名の通り、表面は紺地に青い帯が入ります。雌雄の区別はなかなか難しいですが、この帯が雌の方が幅広く翅形も広い傾向があります。ただ日本には似た種類のものがいないので、すぐにルリタテハだとは分かります。

幼虫はサルトリイバラ、シオデ、ホトトギス、ヤマユリなどユリ科の植物を食べて育ちます。とげとげの独特な姿ですが、意外と棘も芸術的で、身を守ってはいますが毒はありません。食草の近くで蛹になることが多く、よく見ると金や銀に光っている部分があるのですが、まるで枯葉がついているかのようです。
雄はテリトリーを張り、侵入してくるほかの昆虫を追い出そうとします。チョウに限らず急に飛び立ち追いかけて飛び回ります。

これから小春日和の日には石の上や路上で翅を広げていることがよくあります。冬でも暖かい日には陽だまりで出会う可能性のあるチョウです。近づくと素早く飛び去りますが、またすぐに戻ってくることが多いです。
日に輝く翅は様々な『青』をたたえています。この時季動きはそう早くはありませんので、そっと近づくとその瑠璃色をじっくり眺めることもできるでしょう


ルリタテハ

ルリタテハ幼虫

カケス

コウヤボウキ


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