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ウグイス、声はすれども…

(所沢市HPふれ里だより平成25年6月号」より)

春告げ鳥とも言われ、初鳴き日が気象庁で生物季節観測に使われているウグイス。オオルリ、コマドリと共に日本三鳴鳥とされます。

この有名な「ホーホケキョ(法 法華経)」という鳴き声は、この辺りでは2月下旬頃から初夏まで、時には夏まで聞かれます。初夏に緑蔭で聞く声も爽やかで趣があります。初鳴きのころに比べ、うまくなり、よく聴くと個性豊かで、地域によっても違うとか。

初夏を告げる鳥と言えばホトトギスですが、この声を聞くとウグイスは気が気ではないかもしれません。ホトトギスは主にウグイスを托卵相手とし、よく似た赤褐色の卵を産みつけ、その上元々あった卵を放り出してしまうのですからウグイスは子孫が残せずたいへんです。とは言え、ホトトギスが渡ってくる前に1回目のヒナはたいてい巣立っていますので、2回目以降のヒナが守れるかどうかですが、雄は鳴いてばかりで巣をつくり守るのは雌です。

ウグイスほど鳴き声ばかり有名な鳥もいないのではと思うくらいですが、さえずりの他に、一種の警戒音と言われる「ケキョケキョケキョ」というものには『谷渡り』、繁殖期以外に聞かれる地鳴きの「チャッチャッ」というものには『笹鳴き』と別に名前がついています。
笹鳴き以外は繁殖期の雄の鳴き声です。さえずりはもちろんメスへの求愛や縄張り宣言ですが、谷渡りが聞こえたら、ホトトギスが近くに来ていることもあるかも知れません。さえずりがいつまでも聞かれるのは、一夫多妻、あるいは雌が毎回相手を変えることがあるようです。

ウグイスは、Japanese Bush Warblerの英名が示すとおり『日本の藪にいるムシクイ』で、日本以外では朝鮮半島と中国の一部に生息し、日本では全国の平地から山林やその周辺の藪で暮らしています。山地のものは根雪のない平地に降りて冬を越し、北海道では夏鳥です。姿を見ることが難しいのは、開けた場所にほとんど出てこないからです。
藪の中や低木の枝を渡りながら昆虫やクモを食べ、冬には木の実や植物の種も多少食べます。今では禁止されていますが、江戸時代鳴き声の美しさから飼育が盛んになり、虫など、動物食の小鳥を育てるすり餌の技術が発達したほどです。
また、美顔用として『鶯の糞』は親しまれてきましたが、今日ではあまり見かけなくなりました。

特定外来生物に指定されているガビチョウやソウシチョウも藪に棲み虫を食べます。ウグイスの生息場所に影響が出なければよいのですが。

今年は5月中に梅雨入りし、暑い夏が長そうです。6月21日は夏至。太陽は1年で最も高く輝いています。林間に涼やかに響くウグイスのさえずりが聞かれるのも後1、2ヶ月でしょう。
木々の花は少ない中、しとやかにムラサキシキブが咲き、オカトラノオやホタルブクロが涼しげに足下で揺れ、雨を忍ぶかのようにイチヤクソウやギンリョウソウが咲きます。
今年も5月下旬にアカシジミが年に一度のゼフィルスの季節の到来を告げ、ミズイロオナガシジミやオオミドリシジミ、可憐なチョウとの出逢いも楽しみな季節です。


ウグイス

アカシジミ

オカトラノオ

 



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