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空色の紳士オナガ

(所沢市HPふれ里だより平成27年7月号より)
 梅雨末期の大雨が心配な時季となりましたが、7月7日は七夕。星空にも興味がわきます。織姫と彦星の懸け橋となったとされるカササギですが、残念ながら日本では九州北部などの限られたところにしかいません。それも人為的に持ち込まれた可能性があります。七夕の話も中国から来たもの。カササギも持ってこられたのでしょうか。
カササギに近いのは同じカラス科のオナガ。所沢周辺では普通に見られるうるさい鳥ぐらいにしか思われていないかもしれませんが、分布は局地的で、中部地方から北の愛知県を除く本州にしかいません。中でも関東周辺が主な生息地になっていて、所沢市のお隣の狭山市では市の鳥になっています。
世界的にみても2か所に分かれるように分布し、一方はロシア東部、中国東部、日本など東アジア、もう一方はイベリア半島の一部で、遺伝子的には別とされ、いずれも生息域は局所的、飛び地状に存在します。

オナガは果樹園のような林、農耕地や農家の屋敷林など、人工的な場所を好んで1年を通して群れで生活するものが多く、人の近くにいます。
その名の通り尾が長く、青い体に黒い帽子が特徴的です。バタバタと直線的に飛び、広げた羽は美しく、優雅に見えます。
カラスと同じく雑食ですが、オナガによる生ごみ荒しはあまり聞きません。美しいとは言い難い鳴き声はカラスの仲間と納得してしまいますし、賢く学習能力が高いことも同様です。とはいえカラスとは醸し出す雰囲気が違い、気品すら感じられるように思うのは少数意見でしょうか。
餌台にもやってきますが、降り立つ姿がそこはかとなく格好良く、仮面をつけた怪盗が颯爽とやって来たかのようです。
人に近いところにいますが警戒心が強く、それほど近づかせてくれるわけではありません。こういうところにも一種の気高さのようなものを感じます。
集団で行動し、毎日同じような時間にやってくる規律正しい鳥でもあります。鳴き交わしながら飛び立つときは次々と同じ方向に飛んで行きます。群れで子育てにも協力するようで、この時期は胡麻塩頭で尾羽の短い幼鳥を守るように行動しています。

6月下旬から鳴き始めたニイニイゼミやミンミンゼミ。梅雨明けともなればいよいよセミ時雨は賑やかになります。このころこのあたりでは発生のピークだったヘイケボタルですが、その時期は次第に早くなり、今では7月上旬ころになっています。
夜には香りも強くなるヤマユリ。昼間はクロアゲハやジャコウアゲハなどが吸蜜に訪れますが、夜には数々の蛾が訪れているかもしれません。
今月は、10日に最大光度となるひときわ明るい金星と、次に明るい木星が夕方の西空で輝き、上旬は大接近します。19日には細い月も加わります。夜のとばりが降りれば南の空には土星やさそり座が、東の空には七夕の織姫星ベガ、彦星アルタイルが見えています。少し足を延ばして空が暗いところに行けば天の川も見えることでしょう。梅雨が明ければ夏本番です。


オナガ

ヤマユリ

ジャコウアゲハ


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