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スズメのお宿はどこにある(所沢市HPふれ里だより平成29年1月号」より

平成29年、酉年の幕開けです。身近な鳥ということで鶏が酉に充てられたとされますが、身近という点ではスズメも負けず劣らず、いえむしろスズメの方が身近な鳥かもしれません。

スズメは体長14.5㎝くらいで、野鳥を見分けるときの一つのポイントとして大きさをみるときに使われる、ものさし鳥のひとつとなっています。日本全国に生息し、野鳥にさほど興味のない人でも知っている、人のいる所にスズメありと言え、人家があれば山地でも市街地でもいますが、人の少ない離島や山地の集落ではいないところもあります。
人とともに暮らすスズメは家の屋根や壁のすき間、石垣の間、樹洞などに球形の巣を造ります。そばにいるものの警戒心が強く、常に距離を置いています。これは狩猟鳥になっていることやイネを食害するとして追われてきたからかもしれません。
イネの害鳥としてスズメを駆除したら害虫が大発生したという話が古今東西残っています。子育て時期のスズメはイネの害虫などをたくさん食べます。ところが秋になると草の種やイネをついばむので、追われる立場になります。スズメとしてみれば害虫駆除をして育てたイネを実りの秋に収穫していると言いたいところかもしれませんね。

繁殖期はペアで行動するものの、多くのつがいが隣接して営巣することもあり、常に群れでいる印象があります。秋から冬にかけては竹やぶや大木などに集団ねぐらを持ちますが、これは若鳥が大半です。
1年中いるスズメ。ところが移動するものも多く、若鳥の中には長距離の移動をするものもいるとか。ずっといるように見えて、違う個体がいる可能性があります。

おなじみの昔話に『舌切り雀』があり、『雀百まで踊り忘れず』は良く耳にすることわざです。これはスズメが両足をそろえて飛ぶように歩く姿から来ています。また、少ないことを『雀の涙』と言ったりしますが、スズメノカタビラ、スズメノエンドウなど植物の名前にも小さいことを意味するときにスズメが付けられています。ところがスズメガ、スズメバチなど昆虫の場合は大きいものにスズメと付くから面白いです。
新年は初雀、冬は寒雀、春は雀の子、雀の巣、夏は内雀(うちすずめ)、
秋は稲雀(いなすずめ)など四季を通じてスズメは季語になっています。竹に雀は取り合わせの良いたとえとされ、縁起物になっています。家紋にもなっていて上杉家や伊達家、正倉院御物の文様にも見られます。

雪うづむ 苑のくれ竹 をれふして
ねぐらもとむる群雀かな

西行の歌ですが、竹やぶをねぐらとする雀を言いえていると同時に『竹に雀』で一幅の縁起物の絵のようでもあります。

いつもそばにいたはずのスズメの減少が最近よく言われます。しかも世界中で起きているようです。正確な数値や原因などは不明ですが、末永く人も鳥も暮らしやすい世界でありますように。

日ごとに遅くなる日暮れの時間。光の春にウグイスカグラもほころび始めることでしょう。センリョウ、マンリョウ、ヤブコウジの赤い実が今年は少ないながらもまだ見られます。チャバネフユエダシャクなどのフユシャクの仲間たちは今が恋の季節。野鳥たちが一番目立つ季節ですが、それぞれに冬を生きている生きものたちです。


スズメ

ウグイスカグラ

チャバネフユエダシャク♀


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