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可憐で強いコマツナギ(所沢市HPふれ里だより平成29年8月号」より

8月7日は立秋ですが、暑さは一番厳しい時期です。8日の未明には部分月食、28日は伝統的七夕で29日は今年最小の上弦の月。今月、月は土星、金星、木星と共演していきます。短夜に輝く明るい星々をコオロギの仲間やカンタン、カネタタキなど虫の音を聞きながら見るのも一つの納涼。天頂には夏の大三角と呼ばれるベガ(織姫)、アルタイル(彦星)、デネブ(カササギ)が輝いていますが、東からは秋の四辺形を形成するペガスス座が昇ってきます。

この四辺形は天馬の胴体、天駆ける天馬は繋ぎ止められませんが、馬を繋げるほど根や茎が丈夫だとして名前が付いたのがコマツナギ(駒繋ぎ)です。

コマツナギは本州、四国、九州の草地や川の土手、道ばたの日当たりがよくやや乾いたところに群生し、高さ60~90㎝になるマメ科の小低木です。草地や道ばたのものは刈られることが多いので地面に這うように小さいものが多く見られ、一見すると草に見えますが、よく見ると細いながらも丈夫な茎といいやはり木のように思えてきます。図鑑はと言えばほとんどの草本図鑑に掲載されています。『小低木』とは記述されていますが。

葉や茎を更に詳しく、ルーペで見てみると、長い毛が真ん中の部分で茎にくっついています。これを丁字毛と言い、コマツナギの仲間の特徴となっています。

花がそう多くはない7月から淡い紅紫色の可愛い豆の花を咲かせ始め、9月ころまで楽しめます。花は花序の下の方から咲いていきます。

チョウの幼虫は食草が決まっていますが、河川沿いのコマツナギを食草としているのはミヤマシジミです。それもその仲間でも良いというわけではなくコマツナギに限ります。成虫の蜜源としても使われるので大きな群落が必要となります。そのためには適度な勾配があり、冠水せず長期間安定する場所が必要で、頻繁な機械による除草、除草剤が散布されることなく適度に草刈りや火入れが入ることが大きな群落の形成につながります。

大きな河川敷のない狭山丘陵にはミヤマシジミは生息していませんが、埼玉県、全国的にも絶滅が心配される種となっているのはコマツナギの減少が大きく影響しています。

学名はIndigofera pseudotinctoriaで、偽のタイワンコマツナギを意味します。Indigoferaは藍を有すると言う意味で、タイワンコマツナギは東南アジアで藍染の原料とされますが、コマツナギは藍染の原料とはなりません。日本ではタイワンコマツナギは自生していませんでしたので、藍染にはアイを使いました。

残暑はまだまだ続きますが、少しずつ小さな秋が見つかるようになっていきます。8月下旬にはアキアカネが山から下りて来始め、ミヤマアカネの体色も次第に赤みを増してきます。

まだ青いコナラのドングリが葉をつけた状態でぽとりぽとりと落ちていたり、目の前に落ちてきたりすることがあります。これはハイイロチョッキリがドングリに卵を産み付け枝を切り落しているのです。

セミもいつしか夏の終わりを告げるかのようにツクツクボウシの声が多く聞かれるようになり季節の移ろいが感じられます。そして野鳥の声はにぎやかになり、主役となってきます。

 日暮れの時間も早くなり、もっとも夏の終わりを実感するひと時ではないでしょうか。夜の虫の声にも耳を澄ませてみてください。季節の変化が聞こえてくるようですよ。


コマツナギ

ミヤマアカネ

コナラのドングリ