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旅するチョウ、アサギマダラ(所沢市HPふれ里だより平成29年9月号」より

まだまだ暑い9月のはじめ、野鳥たちの渡りは始まっていますが、日本で唯一渡りをするチョウは、アサギマダラです。春には南から北へ、秋には北から南へとその距離は時に海を渡り2000キロを超えることがマーキング調査で分かってきました。

アサギマダラは開帳10センチから12センチ程度のアゲハチョウより少し大きいチョウで、翅は半透明の薄い水色に黒い翅脈が入り、後翅には赤褐色の部分があります。身体は白と黒のまだら模様をしています。半透明の部分には鱗粉がほとんどなく日に透けてステンドグラスのような美しさを見せてくれます。この淡い色は日本の古色で言う『浅葱色』で、名前の由来となっています。

飛び方は堂々としていてふわりと舞い降りるようです。それでも鳥に襲われることはほとんどありません。それは体内に毒をもっているからで、幼虫の食草であるキジョランなどに含まれるアルカロイドを蓄えているのです。食草としては他にイケマ、サクララン、ツルモウリンカなどのキョウチクトウ科(旧ガガイモ科)の植物があり、これらの植物にはアルカロイドが含まれています。

成虫が最も好んで吸蜜に訪れるのはフジバカマ。ヒヨドリバナにも良く来ますが、ヒヨドリバナ属の植物にはやはりアルカロイド系の成分が含まれ、吸蜜によりそれを体内に蓄積でき、オスは吸蜜植物からピロリヂディンアルカロイドを摂取しないと成熟できないことからこれらの花に強く誘引されます。オスもメスも成虫時にもこうして体内に毒を補給しているようです。もっとも毒と言っても死に至らしめるようなものではなく、食べた鳥が嘔吐するといった程度のものです。

八ヶ岳はお気に入りの場所のひとつとして知られ、5月から9月ころまで見られます。南の方にいたものは夏は東北や北海道などの涼しい高地で夏を越し、その間に世代交代し秋になると移動を始めます。

このあたりでは9月から10月ころに目にするようになりますが、ほとんど単体でフジバカマなどに吸蜜に来ます。旅の途中に立ち寄ったと考えられ、会えるとラッキーな気分になります。ただ、関東以南で越冬しているため5月に成虫を観察した記録があります。

まだまだ生態には謎が多いアサギマダラ。マーキングされた個体に出会ったことはありませんが、見つけた方は調査に協力されてはいかがでしょう。

今年の十五夜は10月になりますが、フジバカマ、クズ、カワラナデシコなど秋の七草は早いものは夏早くから咲き始めています。ススキも穂を出しています。ヌスビトハギ、コウヤボウキは今年も早くから咲き始めました。

この時季爆発的に数を増やすイチモンジセセリ。9月はチョウの姿を多く目にするようになります。成熟し赤くなった雄のアキアカネにも出会えるでしょう。

星はすばる。と枕草子にありますが、12日の明け方月の近くにスバルが、東の空には水星が見られます。

昼間残暑は厳しくても空にはうろこ雲やひつじ雲といった秋の雲が見られたり、空の高さを感じたりと秋が感じられます。

謎多きアサギマダラとの出会いを期待しながら歩くのも楽しい9月の野です。


アサギマダラ

ガガイモ

アキアカネ