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吉事の訪れ、キチジョウソウ(所沢市HP「ふれあいの里だより平成29年11月号」より

11月、晩秋のもの寂しさと共に今年も残すところわずかとなって来た慌ただしさも感じられる頃です。

文化の日、七五三、酉の市、勤労感謝の日。勤労感謝の日は本をただせば新嘗祭、つまり収穫祭でした。

結婚式も1年で1番多い月と言われ吉事が並ぶような月ですが、庭に植えたその家に吉事があると花が開くと言われたのがキチジョウソウ(吉祥草)です。あるいは咲くとその家に吉事があるとも言われています。

キチジョウソウは関東を北限とした本州、四国、九州の林内に自生する常緑多年草で、前述のように縁起が良いとして庭にもよく植えられます。日蔭でもよく育ち耐寒性があることも庭草として好まれる理由となっています。以前はユリ科に分類されていましたが最新の分類ではキジムシロ科になりました。

茎は地表を這いところどころに根を出して広がります。花期は9月から11月で、花びらの外側は紅紫色で内側は淡紅色です。穂状に密に咲き、下から咲き上っていきます。おしべは花びらより短いですが、花びらが反り返るので目立ちます。下の方に咲くのはおしべとめしべを持つ両性花で、上の方にはおしべだけの雄花が咲きます。

名前の由来から花が咲くのは珍しく思われがちですが、そういうわけではなく葉より低いところに花をつけるので目立たないだけのようです。

果実は1センチほどで赤く熟し、翌年まで残っていることもあります。晩秋には熟すのでこれからの季節、花から実へと楽しみが続きます。

丈夫で地表を這って増えるうえ、野鳥などにも食べられて種を運んでもらうので、どこにでもありそうですが、意外と出会える機会は多くありません。

木々の色づきも楽しみな晩秋、散策の道すがら思わぬところで群落に出会い驚かされるかもしれません。小さな花がひしめき合い「きっと良いことがありますよ。」とほほ笑んでくれているかのような、1センチほどの可愛い花たちです。

草も木も花はほとんど見られなくなってきましたが、実はまだ楽しめます。オトコヨウゾメ、ガマズミ、ヒヨドリジョウゴの赤い実。ムラサキシキブのその名にふさわしい紫色の美しい実も熟しています。

チョウの姿はいつの間にかめっきり少なくなっています。成虫越冬をしないものではヤマトシジミがまだ見られます。陽だまりで翅を拡げるのは成虫越冬をするムラサキシジミ。このところ花期が早くなっているコウヤボウキですが、本来晩秋の花。チョウをはじめ様々な虫たちが吸蜜に訪れています。

傷んだ蜘蛛の巣に残るジョロウグモのメスの姿は晩秋の物悲しさを倍増させます。動きも鈍く産卵場所を探しているかのようなお腹の大きなカマキリが木の幹でゆらりといることもあります。

今年は11月7日が『立冬』。初冬の森は色づき始めた木々もあるなか、既に葉を落とし始めた木もあります。冬越しにやって来たジョウビタキやアオジ。野鳥たちの声は賑やかさを増しています。

白っぽく感じられるやわらかな小春日和の日差しの中、様々な色どりを見せてくれる植物たち。植物も昆虫もあちこちで命のバトンがつながれて行きます。


キチジョウソウ

ムラサキシキブ

ムラサキシジミ