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だあれが植えた?ヒガンバナ~ふれあいの里だより令和6年9月号~

今年も記録的な高温となった日本の夏。それに加えゲリラ雷雨も多発しました。そして残暑は長い予報となっています。「暑さ寒さも彼岸まで」と言われますが、今年はさらに暑い日が続きそうです。

それでも昼間の時間は確実に短くなってきています。今年の彼岸の入りは9月19日で秋分の日は22日。この日の日の出は埼玉で5時29分、日の入りは17時38分で、先月の立秋の日と比較すると1時間37分昼間の時間が短くなっています。

彼岸の頃に花が咲くから名前が付いたとされるヒガンバナ。残暑が続いていてもこの花が咲くと少しホッとする気がします。

ヒガンバナは日本全土の田の畔や土手など人の手が入りやすい所に群生する多年草です。曼殊沙華が代表的な別名ですが、多くの別名があり、1000を超えるとも言われます。古くから親しまれてきたことの表れとも言えますが、もともと日本に自生するものではなく、古い時代に中国から渡来したと考えられています。

葉見ず花見ずという別名通り、花の咲くころには葉は無く、花が終わった晩秋に深緑色で光沢のある線形の葉を伸ばし栄養を作り、球根に蓄え晩春には枯れます。

秋、つぼみをつけた茎がにょきっと出てきたかと思うと1週間ほどで5個から7個の花を輪のように咲かせます。一つひとつの花には6個の花びらがあり、6個の雄しべと1個の雌しべは花の外に長く突き出ます。

三倍体植物は基本種子が出来ませんが、ヒガンバナはその代表種です。ただごくまれに種子をつけることがありますが発芽はせず、土中で鱗茎(球根)を分球することによって数を増やします。原産地の中国大陸には種子繁殖が可能なヒガンバナがあり、その中で生まれた三倍体のヒガンバナが日本に渡来したと考えられています。

ヒガンバナは全草に毒があります。花茎の汁はかぶれを起こすこともあります。特に毒性が強いのは鱗茎で有毒のアルカロイドを含み、食べると吐き気や下痢、呼吸困難などになり、重症の場合中枢神経の麻痺を起こし死に至ることもあります。大量に食べない限り致死量には達しませんが特に子供や抵抗力が落ちている人、ペットなどには注意が必要です。とは言えでんぷんを含んでいるので飢饉に備えて植えられ、水によくさらして食用にされました。また、吐剤や去痰剤にも用いられました。食べると彼岸に行ってしまうから彼岸花という説もあります。毒花、痺れ花という別名もあります。墓地にもよく植えられ死人花、地獄花、幽霊花とも呼ばれます。花の形が仏具の天蓋に似ているところから天蓋花。狐花、狐の松明、雷花も花の形に由来します。天上か地獄か、妖しげな美しさを人々は感じてきたのかも知れません。

毒のあるヒガンバナが田の畔や土手、墓地などによくみられるのは害獣対策として植えたからと考えられます。

地面の温度が開花に影響するとされるヒガンバナは温暖化の影響を否定できません。ヒガンバナの場合は温度が上がると開花が遅れるのでお彼岸の頃に咲かなくなってきてしまうかもしれません。

ヒガンバナが咲くころにはチョウの数も増えています。クロアゲハやキアゲハ、アゲハの仲間がヒガンバナに吸蜜に来ていると華やかさが際立ちます。

9月17日は中秋の名月。今年は満月の前日に当たります。近くには寄り添うように土星。5日の日没後30分くらいの西の低空では細い月と金星が大接近します。

サシバやハチクマなどタカの渡りも狭山丘陵周辺では9月下旬ころから見られます。行く鳥があれば来る鳥もいます。最後まで頑張っていたツクツクボウシの声もいつしかササキリやカネタタキ、鳴く虫たちの声に代わっています。空も高く感じるようになりアキアカネなど赤とんぼの仲間たちが飛び交うようになる9月です。

ヒガンバナ

        スジグロシロチョウ

        アキアカネ



狭山丘陵いきものふれあいの里センターは 公益財団法人トトロのふるさと基金が指定管理をしています