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変わり者のバッタ、ツチイナゴ~ふれあいの里だより令和7年1月号~

今年は乙巳(きのとみ)年。草木がしなやかに伸びる様子や横へと広がっていく意味を持つ乙と神様のお使いとして大切にされてきて脱皮を繰り返すことから不老不死のシンボルともされている蛇から再生や変化を繰り返しながら柔軟に発展していく年と考えられます。

草木が伸び広がったところで冬を越しているバッタがいます。その大きさからトノサマバッタと間違われることも多い、ツチイナゴです。大型のバッタの中で、唯一成虫で越冬します。体長はオスで50mm~55mm、メスは50mm~70mmです。

体の表面には細かい毛が生えていて、後ろの翅は若いものは淡い黄色をしていますが次第に赤みを帯びてきます。幼虫は鮮やかな黄緑色で成虫になると褐色になります。成虫の色から土蝗と名前が付いたとされます。幼虫の時から目の下に模様があり泣いているように見えるのが特徴です。

ツチイナゴは関東以南の本州、四国、九州、南西諸島に分布し、ほかのバッタとは半年ずれた一生を送ります(南西諸島を除く)。夏の間は幼虫で晩秋に成虫になり冬を越します。枯草の中などで冬を越すものの冬眠するわけではなく、暖かい日には葉の上に出てきたり葉を食べたりすることもあります。

イナゴというと稲の害虫と思われがちですが、ツチイナゴはイネ科植物も食べますがマメ科の植物、特にクズを好んで食べるので晩秋にクズの葉の上で成虫を見つけやすくなります。春いち早く活動を始め、6月ごろまで成虫が見られます。

成虫越冬すると言っても耐寒能力は高くなく、なるべく日が当たったり寒さをしのげたりするところを選んでやり過ごしているので、急な寒さなどで冬を越せないこともあります。同じような一生を過ごすキリギリスの仲間のクビキリギスの方が耐寒能力はあります。

バッタ類の多くが好むイネ科などがまばらに生えた草原を好むのとは違いクズなどが生い茂るマント群落を主な棲み処とします。幼虫の色は生い茂る草の中で保護色になり、成虫の色は枯草の中で保護色になります。

飛ぶことはあまりなく、跳ねたり歩いたりします。冬の暖かな日には出会えるかもしれません。やはり成虫越冬しているムラサキシジミも日向ぼっこしていることがありますよ。

日ごとに太陽の日差しに春を感じることができるようになりますが寒さはこれからが本番です。それでも春を待ちきれないかのようにウグイスカグラが咲き、オオイヌノフグリやホトケノザが咲いています。各地から梅だよりも発信されるようになります。

星空は寒さの中ひときわ美しく見えます。3日は細い月と金星、4日には月と土星が接近します。14日は今年最初の満月でウルフムーンとも呼ばれ、14日未明から明け方と夕方から15日の未明には明るさを増した火星と接近します。そろそろ観察シーズンが終わる土星ですが、18日には夕方から宵の南西から西南西の低空で金星と接近します。この日埼玉での日の入りは16時54分です。

野鳥たちがにぎやかな季節、光の春を感じてかさえずりの練習が聞かれることもある1月です。

ツチイナゴ

  ムラサキシジミ

        ウメ



狭山丘陵いきものふれあいの里センターは 公益財団法人トトロのふるさと基金が指定管理をしています