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旅立つ冬の使者アオジ(所沢市HPふれ里だより平成28年3月号より)

ここ数年、「今年は鳥が少ない。」とあちこちで聞かれます。センターの周辺でも例外ではないようです。
そんな中、毎年変わらず冬の訪れを告げるかのようにやって来ているのがアオジです。何気なく歩いていて、センター周辺で冬越しをしているアオジの存在に気づいている人はそう多くはないのではないでしょうか。

アオジは、スズメより少し大きい小鳥です。本州中部以北の山地や、北海道では海岸や平地から亜高山の針葉樹林までの、明るい林や林縁の藪、低木林などで繁殖しています。冬は同じ環境を選んでいますが、暖地や低地に移動し、市街地や公園、庭にもやってきます。そして、藪の中や木かげの地面で草の種を一粒ずつ口にしています。

「ジッ… ジッ…」とか「チッ… チッ…」と聞こえる地鳴きをしながら数羽の群れで足元をかすめるように飛び交います。藪の中や、低木の生えた草原などで、「ジッ」あるいは「チッ」と聞こえてきたら姿を探してみてください。
明るいところへはあまり出てきませんが、そっと近づくと意外と近くで見ることが出来ます。特に夕刻など足元に飛び出してきて、人には構わずしきりに地面で餌をついばむこともしばしばです。

アオジは胸から腹にかけて綺麗な緑色がかった黄色をしていますが、自然に溶け込む色で、オスは頭から頬、首の後ろが灰緑色で目先とくちばしの周囲が黒いのに対し、メスは全体的に色が淡く、顔が黒っぽくないので、オスより優しい顔に見えます。もっともこれは夏羽の話で、冬羽はどちらも全体に淡い色で、雌雄の区別が付きにくいかもしれません。緑を含めて青と呼んだので、オスの色から名前が付いたとされますが、地鳴きは名乗っているかのようです。

4月ころまでは身近で見られるアオジ。繁殖地へ向かう前に、のんびりとした調子の「チュッチン チュルリ ティーリューリー」や、「ツーチ ルルルルル チョ チー」などをくりかえすさえずりが、木の枝先などで聞かれることがあります。この時ばかりは目立つところなので、聞きなれない良い声に双眼鏡で姿を確認して、驚かされます。
冬の間どちらかといえば地味な存在だったアオジがお別れ前に晴れ舞台で歌の贈り物をしてくれたように思え、「また冬に来てね。」と言いたくなります。

気温の変化が激しかったものの暖冬傾向だった今年、ウワミズザクラは芽吹き始め、ヒメカンスゲは3月を待たずに花を咲かせ、雑木林に春を告げています。
アオイスミレが先かタチツボスミレが先か、菫の仲間が花を咲かせ始めます。スミレは太郎坊で、ジロボウエンゴサクは次郎坊。むかし伊勢地方では子供たちが花をひっかけて草相撲をしたと言われます。成虫越冬をしていたヒオドシチョウが陽だまりで翅をひろげる姿に出会えるようになるのも間もなくでしょう。
シジュウカラやヤマガラもペアになり、高らかなさえずりがそこかしこで聞かれます。
時間が止まったかのように見えていた雑木林が目覚め、目まぐるしく変化をする時季が始まりました。


アオジ

ジロボウエンゴサク

ヒオドシチョウ


狭山丘陵いきものふれあいの里センターは 公益財団法人トトロのふるさと基金が指定管理をしています