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春の野に舞うベニシジミ

(所沢市HPふれ里だより平成26年4月号」より

遅れ気味だった植物の春の兆しですが、急な気温の上昇と共に、一気に遅れを取り戻しているようです。東京のソメイヨシノも開花から5日で満開になったとか。

この辺りで春を告げるチョウとして、いつ見られるかと待たれるのはミヤマセセリですが、そんな時ふいと飛んできて早春咲き始めた小さな花の上で翅をひろげるベニシジミ。実はいち早く春を告げています。
ベニシジミは、北海道から九州の草原、堤防、田畑の周辺、路傍などに棲息する開翅3㎝ほどの赤褐色のチョウです。
幼虫はスイバやギシギシなどタデ科の葉を食べ、成虫は暖地では3月上旬から発生し、秋にかけて5~6回発生をくり返します。秋になり気温が下がると食草から降りて落ち葉の間や石の下などで冬を越しますが、もっとも最後の段階まで育った終齢幼虫から、小さい弱齢幼虫のものまで様々な段階で冬を越します。

成虫には季節型と呼ばれる特徴があり、春型は翅表の赤橙色斑が発達し、夏型はこれが退化し、黒っぽく見えます。春型から夏型への移行期や秋期には中間型が見られます。
飛び方は早いですが、すぐにとまり、様々な花で吸蜜します。春ならタンポポやヘビイチゴの花の黄色に赤橙色の翅を開いた姿が目をひきます。

早春まだチョウの姿をあまり見かけないときにこのチョウに出会うと、何だかホッとします。気温が低めの時などは特に動きも緩やかなので、花で吸蜜している可憐な姿をじっくりと楽しませてくれます。
それほど一度に多くの姿を目にするわけではありませんが、比較的他のチョウの姿を目にしないときなどにスッと現れてくれることが多く、春から秋にかけて、「あ、いたね。」と微笑みたくなるベニシジミです。

センターの周りでは、シジュウカラも巣作りを始めていて、ペアで行動する姿をよく目にします。この冬は少なかったシロハラですが、あと一月くらいは落ち葉をひっくり返しているところに出くわしそうです。
3月から4月は特に変化が速い季節です。オオイヌノフグリの青い絨毯やホトケノザのピンクの絨毯。タチツボスミレの紫の絨毯。小さな花たちが地面にパッチワークを拡げ、木々の冬芽はそれぞれの色で芽吹き次々とパッチワークを拡げていきます。コナラの銀白緑色の芽吹きも目に眩しい、命輝く季節がやってきました。


ベニシジミ

シジュウカラ

タチツボスミレ


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