緑陰のナルシスト?キビタキ

いきふれ自然情報

(所沢市HPふれ里だより平成26年5月号」より

みるみる姿を変えていった4月の森。桜の開花状況に落ち着かなかった日々も既に遠いことのように思われます。 すっかり緑の葉を拡げた木々の間から聞こえるのは、ついこの間まで聞こえていたジョウビタキなどの冬鳥ではありません。

「ピーリピィ ポピピィ」「ポッピピピリ ポッピピピリ」言葉にするのは難しいですが、ちょっと複雑な鳴き声が頭上から降るように聞こえてきたら、それはキビタキかも知れません。
東南アジアで冬を越し、日本に渡ってきて繁殖をする夏鳥の代表とも言えるキビタキですが、先島諸島では留鳥で、1年中見られます。
新緑の間にチラッと雄の黄色い姿が見えただけでもちょっと嬉しい、人気の野鳥です。

ゴールデンウイークの頃に渡ってきてしばらくは雄同士の縄張り争いが激しく、くちばしを鳴らして威嚇したり、ハチの羽音のような音を出して追いかけ回したり、ときには地上でもみ合うこともあります。
林の中で、大きな木の下の方の枝など、中間の空間で良く見られ、あまり活発に動き回ることなくチョウやガの幼虫やクモなどを捕り、ときには空中に飛び上がって虫を捕って食べます。
高木が多く、木の下に空間が広がるような平地から山地の林で繁殖しますが、春と秋の渡りの時期には市街地でも見られます。
センターの周りでも出会えるのはこの時期です。今年も4月の下旬に入る頃声が聞かれるようになりました。鳴き声はバリエーションが多く、生息地域によっても違いがあります。他の野鳥の声をさえずりの中に真似て取り入れたりもし、北海道ではクマゲラの声を取り入れていた例があります。学名はFicedula narcissina、英名はNarcissus Flycatcherで、いずれにもナルシスがふくまれているのは、雄の黄色いからだが水仙の花を思い起こさせるからか、自分の歌に酔いしれているようだという意味なのか、どちらともとれて面白いです。

鳴き真似をするキビタキですが、近ごろすっかり増えてしまった特定外来生物に指定されているガビチョウが、キビタキの声を真似ることがあり、キビタキだと喜んだのも束の間、ガッカリさせられることも。

木々は緑を深くし、爽やかな風が渡る林内。カマツカ、ミズキ、ガマズミ、そしてネジキ。木の白い花たちの季節です。風がエゴノキの花の甘い香りも運んでくれることでしょう。
チョウの数も増え、下旬にはアカシジミなどゼフィルスの季節が到来します。オオジシバリ、サイハイラン、春に比べ草丈の高い花々が足下で揺れています。
ゴールデンウィークの頃を最後にツグミは北の国へと帰って行き、オオルリやサンコウチョウなど夏鳥たちが渡ってきては繁殖地へと移動していきます。
5月10日から16日は愛鳥週間ですが、数多くの野鳥たちとの出逢いが楽しみな季節です。
卯の花(ウツギ)が咲き、夏鳥のホトトギスが高らかに歌うようになると、いよいよ『夏は来ぬ』といったところでしょうか。


キビタキ

アカシジミ

ウツギ

風薫る…

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今日も少々風の強い一日でした。
昨日の『青嵐』というほどではありませんでしたが、満開になろうとしているマルバウツギの花が大きく揺れていました。
気温は上がったようですが、センターの周りでは風のせいもありちょっと肌寒いくらいでした。

シオカラトンボがスィーッと飛んで来たり、オジロアシナガゾウムシが、クズの茎にしがみついてい足りする姿が見られました。

ハルジオンの花には初夏を告げるかのようにダイミョウセセリが翅を広げ、コチャバネセセリが、少し前からここはおきにいりだといわんばかりに吸蜜していました。

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