1. TOP
  2. いきふれ自然情報
  3. 古(いにしえ)からの人気者、クリ

ここから本文です。

古(いにしえ)からの人気者、クリ

(所沢市HPふれ里だより平成26年6月号」より

そろそろ梅雨の走り、そして梅雨入りが気になる頃となりました。深みを増した木々の間を忙しそうに飛び回るシジュウカラやエナガ。せっせとガの幼虫などを捕っています。
低木のウメモドキやシオデは小さな花を咲かせています。ムラサキシキブも甘い香りを漂わせ咲いています。

独特のにおいを発して咲いているのはクリです。お世辞にもいい香りとは言い難いのですが、虫たちには大好評で、様々な虫がこの花を訪れます。
新しく伸びた枝に直立か斜上に花序を出し、先に雄花を、付け根に雌花を咲かせます。雌花は、まだやわらかいイガの中に3個つきます。見た目は風に花粉を運んでもらう風媒花のようですが、じつは虫を頼りにする虫媒花です。

ちょうど年に一度発生するアカシジミ、ウラナミアカシジミ、ミズイロオナガシジミなどのゼフィ ルスたちが吸蜜に訪れ、他にもテングチョウや、タテハチョウの仲間も訪れます。
コアオハナムグリやマメコガネは花粉が目当てです。クリの花を観察していれば入れ代わり立ち代わりやってくるたくさんの虫たちに出会えますが、スズメバチも来るので要注意です。

クリは北海道から九州まで広く分布する落葉高木ですが、三内丸山遺跡から栽培されていたとわかるクリが出土していて、縄文時代から人と深くかかわっていたことがわかります。食用としてはもちろん、材は家の土台や彫刻材、挽物のお盆などに利用され、薪炭材やしいたけのほだ木にも使われてきました。葉は煎じてかぶれなどの薬にもします。堅果の大きさにはかなりの差があり、栽培されるものは特に大きく、雄花も立派です。代表的なのはタンバグリで、野生のものは区別するためにシバグリとも呼ばれます。

クリにとってありがたいお客さんばかりではなく、幹を荒らすシロスジカミキリや、産卵によって芽に害を及ぼすクリタマバチや、実に卵を産み付けるクリシギゾウムシなどもやってきます。
古から昆虫にも人にも、他の生きものたちにも人気のクリです。

ドクダミ、ツユクサ、イチヤクソウ、オカトラノオ、ホタルブクロ、オオバジャノヒゲ。個性豊かな草花が咲く中、秋の七草のひとつカワラナデシコも咲き始めます。
今年は梅雨が長いとの予報も出ていますが、太陽は1年で最も高く輝いています。雨の恵みも受けて豊かさを増していく6月の森です。


クリ

ウラナミアカシジミ

ホタルブクロ


狭山丘陵いきものふれあいの里センターは 公益財団法人トトロのふるさと基金が指定管理をしています