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空に秋、あかね色のアキアカネ

(所沢市HPふれ里だより平成26年9月号」より

猛暑とはいえ、立秋を迎える頃にはキツネノマゴやハイメドハギが咲き始め、初秋のけはいが見え始めていました。8月も下旬ともなればさらにナンバンギセルやヌスビトハギなども咲き、そのけはいは色濃くなっていきました。

赤とんぼの姿もちらほらと目にするようになりました。ナツアカネ、コノシメトンボ、ノシメトンボ、ヒメアカネ。そしてその代表とも言えるのはアキアカネです。
紅く成熟した雄の姿を見ると、秋を感じます。生まれた場所をあまり移動しないものが多いのですが、アキアカネは長距離を移動することで知られています。

アキアカネは日本固有種で、日本全国の平地~山地の水田、池沼、湿地などに生息しています。湿地や水たまり、とりわけ稲刈り後の水田を典型的な産卵場所とし、交尾を終えたペアは連結したまま、泥や水面を腹で打って産卵します。
卵で越冬し、水田に水が張られるころ孵化し、ヤゴ(幼虫)はミジンコなどのプランクトンを食べて育ちます。6月ころ、稲の茎などによじ登り羽化し、ハエやカ、稲の害虫とされるウンカやヨコバイなどを空中で捕らえ食べます。1日に食べる量は体重の1割を超えると言われ、体力を付けた後、単独または集団で、日中の気温が25℃を超えないような高原や山へと移動します。暑さに弱く避暑に行くと言われますが、実際はよく分かっていないようです。

涼しい場所で成熟した雄の体色は、一見すると全身紅く変わっているように見えますが、頭や胸は紅くなりません。秋のけはいを感じてか、平地に戻ってくるものの、残暑の厳しい日中、逆立ちのような姿勢をしていることがあります。これは体温の上昇を抑えていると言われます。
山から下りてくるアキアカネは時には大集団となり空を覆い、ニュースになることもあります、何処にでもいたアキアカネですが、今は各地で激減しています。稲作のサイクルに合わせたようなアキアカネの一生、水田の減少も原因の一つかも知れません。

今年は9月8日が十五夜です。センターの屋根ではススキが穂を出しています。野ではハイメドハギに続き、ヌスビトハギも咲いています。秋雨前線がもたらす雨はキノコにとって恵みの雨。コシロオニダケのちょっとユーモラスな姿も目にするようになります。気をつけてみると大小様々色も形も個性豊かなキノコたちに出会えることでしょう。
シジュウカラは若鳥たちの群れに親たちも加わり、にぎやかです。渡りの季節に入り始め、数多くの野鳥との出会いが期待できます。
イチモンジセセリは爆発的に数を増やす時季です。季節によって彩りを変えるキタキチョウは中間型と秋型が見られます。

上空には秋の雲。秋の空の女王ジョロウグモも大きくなりました。
秋は夕焼けが似合います。日の短さが秋の訪れを実感させますが、秋分の日を過ぎた26日、埼玉の日没は17時33分。西の空では細い月と水星が、28日には月と土星が寄り添います。


アキアカネ

ハイメドハギ

コシロオニタケ


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