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冬の美女、ネジキ

(所沢市HPふれ里だより平成27年2月号」より

寒さから、さらに重ね着をするという意味から衣更着(きさらぎ)と呼ばれるようになったとも言われる2月。今年は4日が立春ですが、本格的な寒さはまだまだ続きます。
とは言え、日照時間は毎日確実に伸び、足下でオオイヌノフグリやハコベが咲き、ウグイスカグラやウメが枝先に花を咲かせています。
よく見ると木々の枝先についた冬芽も変化してきているものがあります。葉を落とした雑木林でも、樹皮や冬芽で木の種類がわかると冬の散策も一味違ったものになるでしょう。

この冬芽にも『三大美芽』と呼ばれるものがあります。ザイフリボク、コクサギ、そしてネジキです。三つのうち、狭山丘陵で一番身近にあり、出会える可能性があるのはネジキです。
ネジキは、ツツジ科の落葉低木から小高木で、東北地方南部以南、四国、九州の丘陵から山地の乾燥した尾根や斜面に自生しています。
幹がねじれることからネジキと名前が付いたとされますが、意外と素直な木も多く見られます。その年に伸びた枝は黄緑から紅紫色でつやがあります。長さ5㎜~7㎜の冬芽も同じ色です。柔らかな冬の日差しを浴び凛として輝くさまは可憐でもあり小さな女王様のようでもあります。
枝や冬芽の美しさから花材に使われ、アカメやアカギといった別名もあります。花の時期以外に花材に使われるというのも皮肉な話ですが、5月~7月ドウダンツツジに似た白い可憐な花を下向きに多数並んで咲かせ、時に枝全体が白く見えるほど見事です。やはり花は自然の中で楽しむのが良いようです。
ちなみに花が似ていることから『飯粒の木』と呼ぶ地方もあるとか。

同じツツジ科のアセビが有毒植物で鹿や馬が食べないのはご存知の方も多いかもしれませんが、ネジキも有毒植物でヤギが葉を食べて死んだ記録があるそうです。
枝には丸い果実が上向きに残っています。5個の筋は裂け、種子は出た後です。これも特徴的ですので、ネジキを見つける手がかりの一つになります。
秋の紅葉も美しいネジキですが、冬枯れの森で静かに、そして最も美しく輝いています。

コナラの冬芽はまだじっとしているようですが、小さなオオミドリシジミの卵がついているかもしれません。
あたりの木を探してみると、枝にはオオカマキリ、幹にはハラビロカマキリの卵のうが見つかることがあります。コゲラがこれを食べていることもあります。
バレンタインデーのころからは野鳥たちも恋の季節に入り始めます。


ネジキ 冬芽

ネジキ 花


オオイヌノフグリ

ハラビロカマキリの卵のう


狭山丘陵いきものふれあいの里センターは 公益財団法人トトロのふるさと基金が指定管理をしています