一足早く初夏の陽気となった日が多かった4月。緑陰は日ごとに濃くなり、カマツカ、ツクバネウツギ、ミズキ、サワフタギと木々の白い花が5月を待たずに咲いていきました。
エゴノキも甘い香りを漂わせ白い花を咲かせる5月ですが、4月下旬、新葉を開きつぼみをたわわに付けたエゴノキに何やら筒状のものがぶら下がっているのを見かけるようになります。
これはエゴツルクビオトシブミの揺籃(ようらん)で、幼虫のゆりかごです。中には卵が一つ産み付けられていて、孵化すると中で葉を食べ、蛹になりやがて成虫となって出てきます。
エゴツルクビオトシブミは1センチにも満たない小さな甲虫です。甲虫と言えばカブトムシやクワガタがまず思い浮かぶでしょうが、一見蟻のように見えて、近づいてよく見ようとするとブーンとその翅を広げ飛んで行ってしまいます。その姿に「ああ甲虫だ!」と思います。
その名のとおりエゴノキの葉を食べる、首の長いオトシブミの仲間です。オトシブミの仲間は日本に約20種いて、揺籃を落とすものと、落とさないものがいます。初夏に見かけるこの筒状の小さな落としものは別名『ホトトギスの落とし文』、『カッコウのたまづさ』。
江戸時代公言するのがはばかれる恋文や密告などを巻紙に書いてわざとわかるように落としたのが『落とし文』。それに似た形なのでこれを鳥の落とし文と考えたとか。おりしもホトトギスやカッコウが繁殖のため渡ってくる時期、中身は恋文でしょうか。
葉を食い荒らす幼虫はたくさんいますが、オトシブミの仲間は葉っぱ1枚で成虫になるとっても行儀が良いというかエコな虫です。
どれも日本全国で見られる普通種にもかかわらず、存在を知らない人も多いのではないでしょうか。
初夏の森を歩いているとゆりかごは見かけますが、成虫には案外出会えないものです。成虫に出会えるのは8月頃までなので、ゆりかごが見つかったらしばらく注意してあたりを見てください。長い首を伸ばして思慮深げにじっとしていたり、うなだれていたり、人の気配に緊張感のある体制でこちらの様子をうかがっているようだったりとなかなか見ていて飽きません。
雄の方が長い首をしていて、ゆりかごを職人技のように作るのは雌です。葉の上を行ったり来たりしてまず素材選びから始まり途中で産卵します。この制作現場に出くわすととても面白いです。
葉がまだやわらかいこの時季ならではのゆりかご作り。時にはたくさんぶら下がっていることがありますが、天敵は寄生蜂やハナグモの仲間など。無事育った成虫はスギの樹皮の下などで集団越冬することが多いそうですが、秋には見ることがないのでずいぶん長い冬眠のようです。
チョウも多く見かける時季ですが、アカシジミやミズイロオナガシジミなどのゼフィルスたちと出会える、年に1度の季節がそろそろ始まります。
5月10日から16日は愛鳥週間です。多くの野鳥たちは子育て中。コゲラやアオゲラが木に巣穴を開けている姿を目にすることもあります。北へ帰るシロハラやツグミ。南から繁殖のために帰ってきたキビタキやヤブサメ。移動中の普段あまり出会えない野鳥たちにも出会えるかもしれない、緑まぶしい5月です。
エゴツルクビオトシブミと揺籃 |
エゴノキ |
エゴツルクビオトシブミ♂ |
コゲラ |
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■2016年05月10日(火)曇りのち晴れ
巡回スポット2
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【巡回時間と内容】
・スポット2・菩提樹池~センター迄の巡回を2名で
行いました。
・9時10分に巡回を開始し、11時55分頃センター
に到着しました。
・テーブル・ベンチの掃き掃除とゴミ拾いを行い、
樹木プレート位置の確認を行いました。
【巡回時の状況】
・ゴミは少なかった。
・トトロ1号地の近くにある山芋の掘り跡の竪穴に
投棄物(衣類、バッグ等)が詰め込んでありました。
・スポット2いきもの湿地の土手際に水芭蕉の葉が
復活していました。
↓ミズバショウ
【自然観察情報】
〔植物〕
・サイハイラン・アオハダ・トキワハゼ・ニシキギ・
・オニノゲシ・ヘラオオバコ・キツネアザミ
・ムラサキシキブ・イチャクソウ・ブタナ・
・ムラサキサギゴケ・キツネノボタン
↓トキワハゼ
↓ケキツネノボタン
・クワイ・オニタビラコ・ヤセウツボ・
〔昆虫〕ヤマトシリアゲ・コジャノメ
↓コジャノメ
【ふりかえり・まとめ】
・雨上がりでしたが、地面もぬかるんでおらず、
巡回しやすかったです。
以 上〔HND記〕
・投棄物の回収とミズバショウの除去については、
5月13日(金)センターで対応しました。
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■2016年04月29日(金)巡回スポット3、スポット1
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〔巡回時間と内容〕
・スポット3・スポット1の巡回を2名で行いました。
・9時45分に巡回を開始し、11時30分に終了。
・園路上の枯れ枝除去とゴミ拾い(50g)を実施。
・道標や解説板付近の下草刈りを実施。
・樹木プレート設置場所の調査を行いました。
↓萌芽更新説明看板付近の草刈り
〔巡回時の状況〕
・祭日(昭和の日)の為か、家族づれ・グループ・学生(写真グループ)
等多くの散策者とすれ違った。
↓sP3湿原
・樹木プレートの設置場所調査をしたが、既に札のついて
いる木が思いの他多かった。
・今回の樹木プレート設置場所候補地点は次のとおり。
…オニグルミ・クヌギ・アオハダ・アカマツ
《既にプレートのある樹木》・クヌギ・ヤマザクラ・クロモジ
・クマシデ・ヒノキ・アセビ・シラカシ・ミズキ・イヌシデ
・アオハダ ↓樹木プレート設置場所調査状況
〔SP3 自然観察情報〕
《野草》ノゲシ・コオニタビラコ・ハルジオン・
ツボスミレ(群落)・ナルコユリ・ギンラン・
ササバギンラン・フジ・コアジサイ(蕾)
・ホウチャクソウ・ヤマツツジ・ギンリョウソウ
・フタリシズカ・セリバヒエンソウ・コゴメウツギ
↓ギンリョウソウ
〔SP1 自然情報〕
《野草》ヤセウツボ・コメツブツメクサ・
《野鳥》ウグイス・シジュウカラ・ガビチョウ・コゲラ・
《昆虫》ヤマトシリアゲ
↓ヤセウツボ
以 上〔HRD記〕
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■2016年04月29日(金)巡回スポット5、4
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〔巡回時間と内容〕
・スポット5将軍塚・4鳩峰神社の森~センター迄の巡回
を5名で行いました。
・10時30分に巡回を開始し、12時50分頃センターに
到着しました。
〔巡回時の状況〕
・強風のため、枝が多く落ちていた。
・樹木プレート設置調査を行い、将軍塚に2箇所表示
↓樹木プレート設置場所調査状況
・鳩峰公園の立て看板上に枝折れあり
・ゴミが少なかった。
↓将軍塚下の造成地が金属製のフェンスに囲まれていた
〔スポット5の自然観察情報〕
《花》・ツボスミレ・イヌシデ・ギンラン・ムラサキシキブ
・オランダミミナグサ・サワフタギ・ウワミズザクラ
・ニワトコ・シャガ・ジロボウエンゴサク・ガマズミ
・クサイチゴ・キツネアザミ・ニシキギ・ウグイスカグラ
・カラスノエンドウ・サルトリイバラ・イボタ・キンラン
《野鳥》ヒヨドリ・ウグイス・カワラヒワ
《昆虫》シロシタホタルガ・クロハナムグリ
↓シロシタホタルガ
↓クロハナムグリ
〔スポット4の自然観察情報〕
《植物》チゴユリ・エゴノキ・キンラン・ゴンズイ・ネジキ・
・オニタビラコ・ミズキ・ヤブカラシ・
《チョウ》コミスジ・キタキチョウ
↓オニタビラコ
〔活動のふりかえり〕
・緑がだいぶ増えてきた。
・樹木プレート設置場所の調査を進めているが、事例となる
白い看板が緑に映えており、印象が良いと感じた。
以 上〔Sp5:KT、Sp4: KYM 記〕
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