1. TOP
  2. いきふれ自然情報
  3. サンコウチョウにまた会える日を(所沢市HPふれ里だより平成29年10月号」より

ここから本文です。

サンコウチョウにまた会える日を(所沢市HPふれ里だより平成29年10月号」より

今年は10月4日が仲秋の名月で、実際の満月は2日後になります。秋分の日から1週間が過ぎた10月1日では日の出は6分遅く日没は11分早くなり、10月31日には日の出は32分遅く日没は70分早くなり、秋の日はつるべ落としを実感するようになります。秋の夜空は明るい星は少ないですが空が澄んでいる分きれいに見えます。新月の翌日10月21日はオリオン座流星群のピークです。流れ星を見るのには絶好です。

秋は空を見上げるのも楽しい季節。「月、日、星  ホイホイホイ」と鳴き声が聞こえるとして名前がついたのがサンコウチョウ(三光鳥)です。ほとんどの野鳥が縄張り宣言や求愛のため、さえずるのはオスに限られるなか、声量は小さいもののメスも同じようにさえずるものがいます。

サンコウチョウは、夏鳥として5月ごろ本州、四国、九州に渡ってきて繁殖し、9月には南中国、東南アジア、スマトラなどへ冬越しのために戻っていきます。

平地から低山地のよく茂った森林で営巣しますが、広葉樹林だけでなくスギやヒノキの人工林でも営巣します。

巣は細い枝に、スギなどの表皮をクモの糸などで編んでコップ型に造ります。虫食で、英名はParadise Flycather。『楽園の虫取り』の名の通り薄暗い森の中を素早く飛び回りながら虫を食べます。優雅に舞うかのように器用に虫を捕らえ、特にオスは長い尾羽をひらひらと、天の羽衣をまとっているかのようです。

サンコウチョウはオス、メスともに小さな冠羽があり、くちばしと目の周りがコバルトブルーです。声も姿もほかの鳥と間違えることはまずないでしょう。オスの体長は約45㎝、メスは約17.5㎝で、この差は尾の長さから来ています。若鳥はメスと同じくらいです。秋の渡りの時にはオスの尾羽も抜けていて、春とは違い静かに南へと移動していってしまいますので、見た目もさることながら秋はなかなか雌雄の区別はしにくくなります。

越冬地や繁殖地での森林の減少など、要因としてはいくつか考えられますが、サンコウチョウは数を減らしてしまい、なかなか会えなくなりました。街中でも見かけるチャンスがあるのは渡りの時期です。

10月はまだまだ移動中の野鳥が多い季節です。越冬地へと向かう途中のコサメビタキやキビタキ。シベリアの方から冬越しのために渡って来たジョウビタキにもそろそろ出会えることでしょう。

まだ移動中のサンコウチョウもいるかもしれませんので気を付けてみてください。

モズの声は9月から聞かれるようになりました。『モズの高鳴き75日』、モズの初鳴きを聞いてから75日目に霜が降りると言われますが、10月23日は『霜降』。温暖化の影響もありこのあたりでは霜が降りるのはもう少しあとになりそうです。

キタキチョウは秋型、ヤマトシジミのメスもこの時季には青味を帯びたものに出会えることも。アサギマダラやウラギンシジミなど、今月まではチョウとの出会いが多く楽しめます。

実りの秋を迎え、オトコヨウゾメ、ガマズミ、ウメモドキの赤い実。アオツヅラフジ、ムラサキシキブの青や紫の実。野鳥たちは秋の恵みをいただき、種を運びます。

11月1日は十三夜。片見月は良くないとの言い伝えもあります。十五夜とともに月を愛でながら、虫の音に耳を傾ける、秋は深まりつつあります。


サンコウチョウ

キタキチョウ

オトコヨウゾメ



狭山丘陵いきものふれあいの里センターは 公益財団法人トトロのふるさと基金が指定管理をしています