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毒か薬かアオツヅラフジ(所沢市HP「ふれあいの里だより令和元年12月号」より)

令和元年もいよいよ終わり。十二支も最後の亥から最初の子へとバトンタッチです。紅葉は遅れ11月に冬の使者のように現れるニトベエダシャクの姿も11月が終わろうとする頃やっと見られました。フユシャクも遅れ、クロスジフユエダシャクが少しずつみられるようになってきました。

それぞれに実った果実は鳥につつかれたり、地面に落ちてしまったりして淋しくなってきています。カラスウリやヒヨドリジョウゴ、オトコヨウゾメの赤、ムラサキシキブの紫、ヤブランの黒紫色、そしてアオツヅラフジは粉白を帯びた藍青色に熟しています。

アオツヅラフジは北海道、本州(関東以西)、四国、九州、沖縄、東アジアの低地の草原や道ばた、林縁などに生息する右巻きの落葉つる性木本で、雌雄異株です。花は7月から8月に咲くものの小さく目立ちません。

昔このつるでつづらを編んだところから名前が付いたといわれ、青はつるが青い(緑)からとか実が青いからだとか言われます。

古くから身近な存在で万葉集には2首詠まれ、古事記にはヤマトタケルが葛(アオツヅラフジ)を刀身に巻き付け飾り立てた木刀をイズモノタケルと交換して太刀合わせをし、討伐したという記述があります。

別名の『カミエビ(神海老)』はエビヅルに果実が似ていて薬効があるところからそう呼ばれたとされます。茎や根茎、果実が利尿や鎮痛、下剤などに利用されますが、全草にアルカロイドを含む有毒植物です。

人間の食用にはなりませんが、ヒヨドリは食べるようです。同じく有毒のヒヨドリジョウゴの実もヒヨドリが好きだから名前がついたとされますが、この実は実際は食べないと言われます。

種子はアンモナイト、あるいは丸まった芋虫のような形をしています。葉は長さ3センチメートルから12センチメートル、幅2センチオメートルから10センチメートルで丸い形をしていますが変化が多く、ハート型や浅く3裂するものもあります。

この葉を幼虫が食草とするチョウはいませんが、ヒメエグリバが幅広い食草を持つガが多い中、アオツヅラフジを食草としています。アケビコノハの幼虫も食草にすることがあります。改めて思い返せば虫食いの葉はあまり見ない気がします。

つる性とはいえ強く絡みつくのではなく寄りかかるように伸び、ブドウのような実も美しいアオツヅラフジ。毒を含むようには見えません。

11月になっても活発に活動していたスズメバチたちもやっと次期女王バチを残すばかりになってきたようです。

急に寒くなったせいか紅葉(黄葉)と落葉が同時進行しているみたいに見え、野鳥の姿も見つけやすくなってきました。黄色や褐色が多い雑木林の紅葉ですが、アカシデの紅葉はひときわ目を引きます。春を待つ準備完了といったように冬芽もしっかりついています。

日の入りは一番早い時期をまもなく終えますが夜長は続きます。宵の明星として金星が輝き12月11日には土星と大接近します。22日は冬至、一年で一番夜が長い日、星まつりが行われる寺院もあります。23日の未明から明け方にかけては細い月と火星が接近します。1月6日に見られた部分日食ですが、12月26日の昼過ぎからは今年2度目の部分日食が見られます。東日本では太陽が欠けたまま沈んでいきます。澄んだ冬の夜空は朝夕も楽しめそうです。

アオツヅラフジ

 

  クロスジフユエダシャク

    アカシデ

 



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