いきふれ通信できましたvol,50(2020年春号)

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狭山丘陵の情報発信基地であるいきものふれあいの里センターでは、年に4回程度『いきふれ通信』を発行しています。

『陽光』咲き始めました!!(2020年3月12日)

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冷たい風が吹く中、玄関前の陽光が咲き始めていました。

風はヒサカキの花の独特のにおいを運んできます。足元にはオオイヌノフグリやタチツボスミレヒメオドリコソウなどが咲いていました。

 

 

シジュウカラ、ヤマガラ、そしてウグイスがラブソングを歌うなか、午後は気温も上がりクロモジのつぼみがほころび始めていました。

明日は何に出会うか楽しみです。

キタテハ目覚め春弥生(所沢市HP「ふれあいの里だより令和2年3月号」より)

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狭山丘陵では3月を待たずにほとんど葉桜となった河津桜。ウワミズザクラも芽吹き、3月5日の啓蟄を前に虫たちも目覚め始めています。

成虫越冬をしていたキタキチョウも2月中に舞う姿が見られました。同じく成虫越冬をしていたキタテハもそろそろ目覚めるころです。

キタテハは北海道から九州に分布する中型のチョウで、日本以外ではインドシナ、中国、朝鮮半島、台湾などアジアに生息しています。

幼虫の食草はカナムグラで、カナムグラの生えている荒れ地や河原など開けた場所に棲んでいます。カナムグラは雌雄異株で葉柄や茎にとげがありほかのものに引っかかるようにして茂り、厄介者として刈り取られることが多いのですが、草木染に使うときれいな黄色に染めることができます。

キタテハはその名の通り黄色いタテハチョウで、季節により装いを変えます。夏型は地色が黄色いですが秋型はオレンジがかり翅のギザギザの切れ込みが強くなります。発生を繰り返し晩秋まで見られ秋型で冬を越し、早春に姿をあらわします。幼虫が4令から5令のころの日長と温度により季節型は変化し、日長が13時間を超えると夏型が羽化するといわれますが、高温の場合は短日でも夏型が羽化します。

素早く飛び回っていても、草の上や地面などによく止まりますので、観察しやすいです。翅表には黒い斑紋があり、後翅の先の斑紋に金属光沢のある青色鱗粉があるのが良く似たシータテハとの違いです。もっとも狭山丘陵ではシータテハに出会うことはありませんが。

さなぎにも金属光沢の部分が見られます。ほかのタテハチョウのさなぎ同様、銀色に光る突起物がキタテハのさなぎにもあります。幼虫はカナムグラの葉をたたむようにして巣をつくり、そのまま中でさなぎになります。

翅裏は夏型に比べ秋型は茶色味が濃く『く』の字に見える白い斑紋がくっきりと見えるものの、落ち葉や地面に溶けこむような保護色です。何もいないと思ったところで突然翅を広げ、日向ぼっこをすると存在に気付くと同時にその鮮やかさにハッとさせられ、特に早春には春を見付けたようで嬉しくなります。

どこにでもいると言われ人家まわりでも見られたキタテハですが、カナムグラの茂るような場所が減ったこともあり、会う機会が少なく感じます。これからの季節は様々な花で吸蜜し、樹液や腐った果実にもやってきます。カナムグラが茂るのにはまだ早いですが、夏以降はその葉を探せば幼虫が見つかるかもしれません。はじめは黒い毛虫状で、やがてとげ状の突起物に身を包みます。さながら毒ガの幼虫に見えますが、毒もなければ触って痛くもありません。

陽だまりで翅を広げるキタテハにほっこりしていたと思ったらいつしか風景はすっかり春景色。今年も桜前線は3月半ば過ぎに狭山丘陵にやってきそうです。白い毛玉のようだったコウヤボウキの冬芽は柔らかな黄緑に変わったと思ったらもう芽吹き始めています。コブシも枯れ枝のようなところから花を咲かせます。

巣材として運んでいたコケを落としたのはエナガでしょうか。シジュウカラのさえずりもよく聞かれます。冬越しに来ていた野鳥もいてにぎやかだった森は、恋の季節を迎えた野鳥たちで違ったにぎやかさになってきました。

キタテハ

 

花期のカナムグラ

   コブシ

 

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