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ホオジロの歌声響く初夏(所沢市HP「ふれあいの里だより令和2年5月号」より)

夏も近づく八十八夜。立春から88日目で春から夏に移り変わる節目の日、夏への準備をする日、縁起の良い日などとされ、今年は5月1日に当たります。

地域の名産狭山茶もこのころ茶摘みが行われます。茶畑で茶摘みが行われていなければホオジロの姿を目にすることがあるでしょう。

ホオジロは、日本では屋久島より北で繁殖している小鳥で、大きさは全長16.5センチメートルほど、全体は赤身のある褐色で上面には黒色の縦斑があります。平地から低山地の草地や農耕地、林の周辺などの開けた場所で見られます。北海道では主に夏鳥として飛来し、数は多くありません。

顔は白色と黒色の模様でその名の通りほおが白く、眉斑、のどが白色です。メスは全体にオスより淡い色で顔は褐色と白色です。ほおが白いと言えばシジュウカラもそうですが、背が灰青色で上部が黄緑色なので区別がつきます。色でいえばスズメと見間違う事の方が多いかと思いますが、ホオジロは胸からわきも赤褐色なので白っぽいスズメと区別がつき、尾も長めです。もっとも鳴き声を聞けばすぐにわかるでしょう。

話し声ともいえる地鳴きは「チチッ  チチッ」と2声ずつ鳴きます。日本の他のホオジロの仲間は「チッ  チッ」と鳴くので、2声ずつ鳴けばホオジロだとわかります。さえずりは「チョッピーチチ  ピッツーチリリ」などと鳴き、「一筆啓上  仕り候」「源平ツツジ  茶ツツジ」など人の言葉に置き換えた『聞きなし』がいくつかありますが皆さんにはどう聞こえるでしょうか。こずえや電線などで胸を張って鳴く姿を見かけたらその声を自分なりの言葉にしてみると覚えやすくなるかもしれません。胸を張って喉元の白い部分を強調させて多くのレパートリーを歌い続けるオス。これはもちろんメスへの懸命のラブソングです。

繁殖期は4月から7月で、草の中や低木など藪の中に草や細い枝などでおわん型の巣を造り、3個から5個の卵を産みます。成鳥は草の種子食ですがヒナには動物性たんぱく質が必要なので、ヒナに運ぶエサはほとんど昆虫です。

茂った林に入ったり、広い草原の中央に出たりすることはなく、地上をはね歩いて地表に落ちている小さな実をついばみます。冬は小さな群れを作ります。目立つところでさえずる7月ころまでが一番見つけやすい時期と言えます。普通にいる身近な野鳥ですが、環境の変化により数を減らしています。幸い茶畑があちこちに見られる狭山丘陵では、高らかな声が聞こえてくるでしょう。

茶畑では年に1度発生するミドリシジミの仲間ゼフィルスのアカシジミやウラナミアカシジミが見られることがあります。クリの花の独特な香りもし始めます。クリにはゼフィルスたちも吸蜜に訪れます。

風薫る5月、エゴノキの花の甘い香りも運んできてくれることでしょう。日に日に濃くなる緑の木陰、窓を開ければ緑の香りと共にいろんな声も聞こえてきそうです。

5月10日からは愛鳥週間です。繁殖のために帰ってきた野鳥たちもたくさんいますが初夏の風物詩といえばホトトギスの声でしょうか。

ほととぎす聞く折にこそ夏山の青葉は花におとらざりけれ(西行)

ホオジロ

 

  ウラナミアカシジミ

    エゴノキ

 



狭山丘陵いきものふれあいの里センターは 公益財団法人トトロのふるさと基金が指定管理をしています