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ちょっぴり変わり者キアゲハ(所沢市HP「ふれあいの里だより令和2年月8月号」より)

今年は8月7日が『立秋』。この日の埼玉県の日没は18時41分。1か月前の七夕の日は19時2分だったので、長引く梅雨空で夕焼けもほとんど目にすることのないままに随分日が短くなってきています。

例年この頃は一番暑い時期で、チョウの飛ぶ姿も減りますが、9月に近づくにつれ目にする機会が増えてきます。

蛹で冬を越し、3月から11月ころまで複数回発生するキアゲハも春型に比べ大型の夏型が見られます。

キアゲハは屋久島より北の日本全国に分布し、平地から山地の日当たりの良い草原を好みます。オスは地面や木立のてっぺんなどで翅を広げ他のチョウがくると追い払う占有行動をとりますが、特に山頂付近や川の土手などの開けた場所でよく見られます。国外では北半球の寒帯から暖帯に分布し、日本にいるものは氷河期にシベリア方面から移動してきたとされています。アゲハやクロアゲハは中国、朝鮮半島から来たとされアオスジアゲハやナガサキアゲハは台湾、東南アジアからとされます。北方系のチョウとされるキアゲハは温暖化の影響か数を減らしているようで、都市部では見かけることが少なくなりました。

アゲハによく似ていますがその名の通り地色に黄色みが強い傾向があります。ただ個体差もあり地色では区別しづらく前翅の付け根の部分が幅広く三形状に黒くなっていたらキアゲハです。夏型は特にこの黒色麟が発達します。アゲハはこの部分が黒い縞模様になっています。

日本にいるアゲハの仲間は幼虫がミカン科の葉を食べるものがほとんどの中、キアゲハはニンジンやアシタバなど栽培種のものも含め広くセリ科の植物を食べます。家庭菜園のミツバやパセリに幼虫が!という事もあります。ただまれにミカン科の植物につくこともあります。小さなうちは茶褐色で鳥の糞に擬態していますが4回脱皮し、5齢が終齢幼虫で、黄緑色と黒色の縞模様に橙色の点が散在するなかなか派手な姿になります。敵にすぐ見つかって襲われそうですが、セリ科の葉に止まっていると意外と目立ちません。危険を察知すると臭いにおいを出す橙色の臭角を出すのはアゲハの幼虫と同じです。

成虫はツツジ類、ユリ科、キク科の各種の花を好み吸蜜に訪れます。アゲハチョウは漢字で揚翅蝶。名前の由来の一説に、花の蜜を吸うときに翅を揚げて震わせているからというものがあります。キアゲハもやはり小刻みに翅を震わせながら吸蜜しています。

大型でチョウの中でもポピュラーな存在のアゲハの仲間たち。おおよそ樹林のチョウですがキアゲハは前述のとおり草原性で木の花よりも草の花の方が好きなようです。そんなちょっぴり変わり者のキアゲハを探してみてください。

木の花はクサギが唯一咲いているといったところですが、その甘い香りを楽しみながら見ているといろいろなチョウが吸蜜にやってきます。もちろんチョウ以外の虫たちも訪れます。

今年の伝統的七夕は8月25日と遅めですが、星空を楽しみながらカンタンやウマオイなど虫の音も楽しめることでしょう。

ナンバンギセル、ユウガギク、ヌスビトハギ、足元を次第に秋草たちが彩り始めます。晩春に咲いていたホウチャクソウは黒紫色の実をつけています。野鳥たちの声もにぎやかになっていき、空には秋を感じさせる雲が見られる日が増えてくることでしょう。

キアゲハ

 

   ヌスビトハギ

   ホウチャクソウ

 



狭山丘陵いきものふれあいの里センターは 公益財団法人トトロのふるさと基金が指定管理をしています