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夏眠目覚めてメスグロヒョウモン~ふれあいの里だより令和3年9月号~

季節先取りの涼しさになったと思ったら夏本番のような残暑が続いた8月。そんな中いつしか夜に聞こえてくるようになったのはツヅレサセコオロギをはじめコオロギやバッタの仲間たちの声。

昼間もショウリョウバッタやオンブバッタの成虫が見られるようになって来ました。8月下旬から9月はチョウの数も増える時期です。

キタテハやアカタテハ、ミドリヒョウモンといったタテハチョウの仲間たちも増えます。

タテハチョウ科の中でヒョウモンチョウの仲間たちはその名の通り、豹のようなオレンジがかった地色に黒の斑紋が特徴で、飛んでいると区別がつかないことが多いくらい似ているものが多いです。メスグロヒョウモンは、メスが黒っぽいことから名前がついたとされ、雌雄で別のチョウのように見えます。頻繁に目にすることはありませんが、ペアで見ると相手を間違えているのではと心配になるくらいです。

メスグロヒョウモンは北海道から九州の平地から山地の樹林やその周辺に生息しています。どこにでもいるように思われますが、最近では数を減らしているところもあり、埼玉県では準絶滅危惧種とされています。

翅を広げると70ミリメートル前後と、タテハチョウの仲間では中型です。メスはイチモンジチョウに似ているように見えますがイチモンジチョウより大きく青緑色を帯びています。オスは前翅の表面に黒の太い3本の性標があります。

幼虫はスミレの仲間の葉を食べ、成虫はこの辺りでは年1回、6月ころに発生します。多くのタテハチョウの仲間と同じく暑い真夏は夏眠するので今頃になると花で吸蜜する姿を見かけるようになります。

産卵は食草にするわけではなく、食草の周辺にある木の幹などに産みつけます。そして卵のままか、孵化して何も食べずに越冬します。幼虫は薄茶色に毛のある姿をしていて春になって活動を始めるとスミレの仲間の葉を食べ成長していきます。2齢からは黒い体にとげのある姿になりますが、とげに毒はなく触っても痛くありません。羽化するころに咲いているのはオカトラノオ。いろいろな花で吸蜜するものの、この花によく吸蜜に来ると言われます。夏眠あけの9月ころにノハラアザミで吸蜜する姿を目にする時は、傷んだ翅のものも少なくありません。今年もその季節がやってきました。

今年は9月21日が十五夜で、23日は秋分です。必ずしも満月と十五夜が一致しないのですが、今年は8年ぶりに満月と十五夜が一致します。この日の埼玉での日の入りは17時40分でこれから日ごとに早くなっていきます。空気も澄んできて涼しくなってきた夜は星空を見上げるには最適の季節です。

冬越しのために南に行く鳥、北や山からくる鳥と野鳥たちはざわつく季節になりました。今年のセンターエリアはアオハダの赤い実が良く実っています。移動中の野鳥たちがついばんで行くかもしれません。

早くから咲いているヌスビトハギはまだまだ咲き続けています。ユウガギク、シラヤマギクなど野菊の仲間たち、ススキも花を咲かせ多くのイネ科の植物が花を咲かせます。青空を背景に飛ぶアキアカネを見ると秋の訪れを感じることができます。夏眠から目覚めるのはチョウだけではないかのようです。

  武蔵野につらぬきとめぬ白露の

   草はみながら月ぞこぼるる 藤原定家

メスグロヒョウモンのメス

    アオハダ

   コノシメトンボのオス



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