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エダナナフシそっと息をひそめ~ふれあいの里だより令和4年4月号~

さくらさくらさくら  咲き始め咲き終わり

何もなかったような公園(俵万智)

今年も3月中に満開となったところが多いソメイヨシノ。気温や風雨がいつも以上に気になることが多い毎日です。新年度のスタートとともにソメイヨシノも新葉を広げ始めます。

花と同時に新葉を楽しめたヤマザクラはすでに虫食いの葉が見つかるかもしれません。

いろいろな木の葉を食草とし、害虫ともされるエダナナフシ。木の枝や葉の上でじっとしていることが多いのでなかなか見つかりませんが都市近郊にも多く生息している身近な昆虫です。桜の葉を好むようでセンターエリアではよく桜の木で見かけます。

体長はオスが69ミリメートルから75ミリメートル。メスが82ミリメートルから95ミリメートル。体色はオスは淡緑色で、不明瞭な帯赤色側縦帯をもち脚の膝部は帯黒色です。メスは生息する環境に応じて色彩が淡褐色、黒褐色、緑色、帯黄緑色など様々です。木の枝に足が6本生えたような体型で翅はなく、長い触角を持っています。本州、四国、九州の日当たりの良い雑木林や林縁、下草上で普通に生息しています。

卵で越冬し、3月下旬から4月にかけてふ化し、メスは6回、オスは5回脱皮し、6月中には成虫になり7月中旬頃から産卵を始めます。2ミリメートル程度の植物の種子のような卵を1粒ずつ地面にばらまくのでまず見つかりません。飼育下でも糞なのか卵なのか迷うほどです。

木の枝や葉の上で擬態し、動くときも体を揺らしながらゆっくり進みます。天敵に見つかると足をぴんと伸ばして落ちます。捕まえて足を強く持つと付け根からもげてしまいます。幼虫期ですと脱皮の時に再生しますが成虫になってからでは再生しません。生涯見つからないように暮らしているエダナナフシ。1匹見つけると周囲に複数いることがあるので探してみてください。

ナナフシの仲間は複数いますがオスが全くいないかごくわずかしか見つかっていないものが多くいる中、エダナナフシは雌雄がみられます。

身近で見られるものにナナフシモドキがいますが、エダナナフシとは触角が短いところで区別できます。雌雄はいますがメスだけでも産卵するのでオスはなかなかみつかりません。

『枝七節』枝に似ているナナフシと言う意味で名前がついていますが

7はたくさんの意味で11節あります。日本には15から20種類居ると言われているナナフシの仲間たちには不思議が一杯です。

スジグロシロチョウの幼虫の食草にもなっている帰化植物のショカツサイは3月から咲き始めています。いつの間にかチゴユリが足元で咲き、木々もオトコヨウゾメ、ツクバネウツギ、カマツカなど白い花が咲き始めます。

木々が緑を濃くしていくなかチョウやガの幼虫も大きくなりそれに伴い子育て中の野鳥たちは大きくなっていくヒナへ次第に大きな幼虫を運びます。冬越しに来ていたツグミも北へと帰っていきます。空には子育てのために帰ってきたツバメの姿も見られるようになり、移動中の野鳥たちを含めにぎやかなさえずりが聞こえてきます。春は駆け抜けていきます。見上げれば星空も春の星座に変わっています。日の出は早くなっていますが、日の出の1時間前くらいの東の低空に惑星が集っています。日々変わる惑星の位置も楽しみのひとつです。

エダナナフシの幼体

   チゴユリ

    コナラ・ヤマザクラ



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