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もう秋ですよとツルボ咲き~ふれあいの里だより令和4年9月号~

今年の夏も記録を塗り替えるような異常気象が多く発生しました。長期予報では残暑は10月まで続きそうだとのこと。それでもお盆を過ぎたころから少しずつ変化が感じられるようになって来ました。

突然草の中から淡いピンクの花を咲かせ始めたのはツルボです。

ツルボは日本全土の日当たりの良い山野に生える多年草です。別名はサンダイガサ(参内傘)で、花を咲かせている様が、公家が参内するときに従者がさしかけた長い柄の傘をたたんだ形に似ていることからついたとされます。別名の由来ははっきりしているようですが、ツルボの名前の由来ははっきりせず、黒褐色の球根の皮を剥ぐとつるっとした坊主頭のように見えるからだとか、花を咲かせる姿が連なって見えることから連穂(ツルボ)と呼ばれるようになったから、また、結実するころ花茎が極端に伸びて蔓のようになるからなど諸説あり、字は『蔓穂』をあてることが多く、謎は深まるばかりです。

ツルボは救荒植物として中国から入って来たともいわれますが、学名はBarnardia japonicaです。江戸時代の『大和本草』には球根をよく煮て食べるようにと記述されていて、実際生のまま食べると腹痛や下痢を起こしてしまいますが、しっかりとアク抜きをすれば大丈夫だと言われています。球根の皮を剥ぐとネギのようなにおいがし、葉もちぎると少しネギのようなにおいがするとか。球根にはでんぷんが多く含まれているので飢饉の時に食べられていたのも納得します。

球根には薬効成分もあり、昔から皮膚病、神経痛、やけど、切り傷にすりつぶして湿布薬として使われてきました。

ツルボの花言葉に「誰よりも強い味方」がありますが、これは球根にちなむもののようにも思えますが、小さい花が支えあうようにたくさん咲いているところからとされます。「流星のような」というのもあり、秋になると突然、葉や茎を伸ばし花を咲かせることからとされます。

春には5枚から10枚の葉を出し夏には枯れ、晩夏から初秋になると2枚から3枚の葉を出し花茎を伸ばします。日当たりの良い所では春に出た葉が残っている場合もあります。秋に葉を出すころには回りに草が茂っていて、気が付くと花が咲いていてびっくりということもしばしばです。

とても丈夫で繁殖力も旺盛。墓地などで群生していることもありますがすぐに除草されることがほとんどです。

秋の訪れを知らせるかのように、身近な足元でツルボが咲き始めていませんか。

今年の十五夜は9月10日で、23日は秋分です。昨年8年ぶりに満月と十五夜が一致しましたが今年も満月と十五夜が一致します。満月になるのは18時59分。この日の埼玉の月の出は18時12分なので満月の瞬間が低空で見られます。日の入りは17時57分で月末にはさらに30分早くなり夜は長くなっていきます。空気も次第に澄み夜も寒くなりすぎない9月は夜空を見るのに最適の季節です。

お月見と言えばススキ。ススキも花を咲かせています。ヌスビトハギ、ハイメドハギ、ネコハギも咲いています。ユウガギク、シラヤマギクなど野菊の仲間たちの楚々とした風情にほっとします。

野鳥たちは移動するものもいてなんだか落ち着かない季節になりました。アオハダやガマズミの赤い実は行く鳥にも来る鳥にも大切な糧です。

草むらにはエンマコオロギなど美しい声を聞かせてくれる虫たちだけでなくオンブバッタやトノサマバッタも棲んでいます。ナツアカネやコノシメトンンボのオスは赤とんぼらしくなりました。夏眠から目覚めるのはツルボだけではありません。テングチョウ、メスグロヒョウモン、ミドリヒョウモンなども夏眠から目覚め活動を再開します。イチモンジセセリは一気に数を増やし目にするチョウたちの数が増えるのも9月です。

ツルボ

    ガマズミ

   オンブバッタ



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