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木の実を求め、ヒレンジャク~ふれあいの里だより令和4年11月号~

今年もいよいよ初冬を迎えます。11月7日は立冬で、翌日の8日は満月で皆既月食です。日没の時間も早くなり、すぐに暗くなるので星空を楽しむ時間が長くなります。月は11日には火星と、29日には土星と接近します。おうし座流星群やしし座流星群もみられます。

暦の上では冬でも秋はまだ楽しめます。色付いた木の実が目をひきますが、植物としては野鳥に食べてもらって種を運んでもらうのが本来の目的です。冬越しにやってくる野鳥たちの姿が増え、木の実をついばむ野鳥たちの姿を目にする機会も多いことでしょう。

群れで木の実をついばむことでよく知られるのはキレンジャクとヒレンジャクです。冬鳥として日本に飛来し、全国で記録されているものの、渡来数は年によって大きく変動します。ヒレンジャクは西日本に多いと言われますが、キレンジャクとヒレンジャクは混群で移動していることがよくあります。

レンジャクは山地、平地の林、人里などに加え市街地にも出現します。果実や草の実を主食とする冬場はこれらがあるところならやってくる可能性があります。庭の餌台にやってくることもあります。

ヤドリギはレンジャクの好物でもありヤドリギが多くついた大木や大木のある林は出会える可能性が高い場所です。ヤドリギの実を食べた後の糞は粘り気が強くしばらく飛び立てないことも。

荒幡富士の周りにはピラカンサが植えられていてこれも好物です。ピラカンサは総称で赤い実を付けているトキワサンザシと橙色の実を付けているタチバナモドキが混植されています。尾の先が黄色いキレンジャクと尾の先が赤いヒレンジャクが混群を作っている姿と重なります。

キレンジャクは北欧からシベリア、北米まで広く分布するのに対し、ヒレンジャクは極東特産です。

英名のJapanese Waxwingは翼の羽の先端にしずくのようなロウ状の物質が付いていることによります。シーボルトによって日本から初めて報告されたことから学名もBambycilla japonicaと日本をあらわすものになっています。

レンジャクは漢字では連雀で、連には連なる、群れるといった意味が、雀は小さな鳥という意味があるとされます。それに黄、緋と色が頭についています。ヒレンジャクは全長17センチメートルでスズメよりは少し大きくキレンジャクよりは少し小さいです。

木の高いところで群れていることが多く水を飲むとき以外はほとんど地上に降りません。でも地上にあるジャノヒゲなどの実を食べることもあります。11月ごろから4月ころまで木の実を求めて群れで移動していきます。

中世から近世にかけて木製の背負道具に商品を入れ商いをして歩いた行商人を連雀や連尺と呼ぶようになり、その商人たちが集住する場所は連雀町と呼ばれ、今も地名として残っているところがあります。これは左右の翼にそれぞれ1本ずつ長い羽があり、それがたれ下がっているレンジャクに背負道具が似ているところがあったのでそれを連雀と呼ぶようになり、商人自体もそう呼ぶようになったということですが、商品を売り歩き各地を巡る姿が木の実を求めて各地を巡るレンジャクを思わせたとも考えられます。また、『連雀』は秋の季語にもなっていて古くから親しまれていたことがうかがえます。

全く渡ってこない年もありますがこれから熟してくるヒサカキやキヅタの実を食べに来てくれないかと楽しみです。

チョウの姿はほとんど見ることがなくなりましたが、小春日和の日には成虫越冬をするルリタテハやアカタテハ、キタキチョウなどが見られます。コウヤボウキやヤツデには思いのほか多くのアブの仲間なども吸蜜に訪れています。足元にはすでに落ち葉が見られます。色づき始めた木々も見られるようになってきた11月です。

ヒレンジャク

タチバナモドキとトキワサンザシ

    ヤツデ



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