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ホソミイトトンボ冬姿~ふれあいの里だより令和5年12月号~

秋と冬が目まぐるしく交錯するような11月でしたが冬の入り口、12月となりました。

狭山丘陵では落葉広葉樹の冬支度、紅葉が楽しめる時期。褐葉や黄葉に紅葉が差し色のように見えます。海を越えたり山から下りてきたり、冬越しのために野鳥たちも集まってきました。卵、幼虫、蛹、成虫と虫たちは様々な姿で冬を越します。

成虫で冬を越す虫の一種にホソミイトトンボがいます。

ホソミイトトンボは本州、四国、九州に分布し、関東南部が北限とされていましたが、近年北へ分布を広げているようです。

年2回の発生で、夏型は初夏に発生し体長は28ミリメートルから34ミリメートル。越冬型は晩夏に発生し体長は33ミリメートルから37ミリメートルで未熟なまま冬を越します。体色には個体差があり、明るい青と鮮やかな緑が美しく、その名の通り細身ながら気を付けて見ると色の変化も楽しめます。中にはグラデーションになった個体もいたりします。

腹部が細いのと頭の上に鉄アレイのような形の青い紋があり、これが特徴となっています。

越冬型は淡褐色で、これは見事な保護色となります。比較的水辺に近い南斜面やがけ下などの下草の茂みや、垂れ下がった細い枯れ枝に『く』の字型になって止まっています。真冬でも気温が14度を超すと飛び回り12度くらいでも飛び回って小型昆虫などの摂食活動を行うものがいます。

夏と冬で季節型が見られるトンボは日本ではホソミイトトンボだけで、成虫越冬するトンボはほかにオツネントンボと、ホソミオツネントンボがいます。

平地や丘陵地の水生植物の多い池や沼で見られるホソミイトトンボですが、今年は夏ごろからセンターエリアでしばしば出会うことが出来ました。11月には越冬型も確認できています。この冬は枯れ枝などに止まっていないか注意して見てみたいところです。

春には成熟し、色も変化します。個体差があるので雌雄の区別は色では区別がつきにくいですが、青いマッチ棒のようなものがつんつんと浮遊しているような姿に出会えるのが楽しみです。

成虫越冬しているチョウ、ムラサキシジミやルリタテハにも暖かい日差しの下で翅を広げて日向ぼっこをしている姿に出会えることがあります。

今年は12月22日が北半球では夜の時間が一番長い日『冬至』。「冬至冬中冬始め」と言われ、日の入りの時間は少しずつ遅くなっていきますが、夜明けの時間はまだ遅くなっていき本格的な寒さが始まります。この日の夕方から23日の未明にかけ上弦を過ぎた月と木星が接近して見られます。三大流星群の一つふたご座流星群の活動が極大となり、14日の宵から15日の明け方が見ごろです。今年は月明かりの影響がなくピークが予想されている時間がこの時間帯と重なるので期待できそうです。明るい星が多く空も澄んだ冬は星空観察に最適です。寒いですが昼間観察しやすくなった野鳥に加え、夜は星空観察もお勧めです。

一年中いるシジュウカラやヤマガラ、メジロなどは混群を作って冬を越します。地面に落ちたドングリはもちろん、木や草の実は貴重な食糧です。たわわに実ったイイギリの実はある日一気に野鳥たちに食べられ気が付けばなくなっています。

あわただしい年の瀬、色んな工夫をしながら冬を越そうとしている生きものたちの姿に一息つくのもいいかもしれませんね。

ホソミイトトンボ

  ヤマガラ

    イイギリ

 



狭山丘陵いきものふれあいの里センターは 公益財団法人トトロのふるさと基金が指定管理をしています