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可愛い?凛々しい?ツミ~ふれあいの里だより令和6年1月号~

新しい年が始まりました。いろんなものに『初』がしばらくは付きます。初夢もその一つ。「一富士二鷹三茄子」は初夢に見ると縁起が良いと言われているものを並べたものですが、二番目に鷹があります。鷹は言わずと知れた猛禽類。狭山丘陵ではオオタカがまず思い浮かびますが意外と身近にツミがいます。

ツミは日本全国の平地から低山地に生息し、北日本では主に夏鳥として見られます。オスは全長27センチメートル、メスは31センチメートルとオスはヒヨドリ、メスはキジバトよりやや小さいくらいで日本最小の猛禽類です。オスは頭から背、翼の上面が灰黒色で、下面は白っぽく目は暗赤色、メスは全体に褐色味が強く目は黄色です。若鳥は上面が黒褐色で下面には黒褐色の縦班があり腹にはハート形の班があります。雌雄、若鳥いずれも目の外線が黄色いのが特徴の一つです。

名前にタカとつきませんが漢字表記では雀鷹で小さいタカを意味します。英名もJapanese Sparrowhawkと雀鷹です。もともと雀鷹はメスをさし、オスは悦哉(エッサイ)と呼ばれ区別されていたようです。ツミは主に小鳥を主食としていて、オスはスズメやシジュウカラなどを、メスはより大きなムクドリやオナガなども狙います。林の中でも俊敏に飛び回り雌雄ともにセミや大型昆虫も捕えます。巣立ち雛は旬の食材ともいえるセミを主に捕食します。鷹狩が盛んだったころ、スズメなどの小鳥を捕る鷹としてメスにこの名前が付いたともいわれます。オスも狩りに使われていたようですがより大型の獲物を捕らえるメスのほうが重宝がられたようです。悦哉には悦び従うといった意味があり、ツミは女性上位と思われていたかもしれませんね。あるいは鷹匠にとって仕込みやすかったのかもしれません。

ツミは平地から山地の森林で繁殖していましたが近年都市部の公園や住宅地近くの街路樹などでも繁殖することが増え、身近な猛禽類となってきています。4月下旬ころ比較的枝の込んだ木に皿型の巣を作ります。巣は雌雄共同で作りますが抱卵はメスでオスが餌を運んできます。繁殖期にはよく「ピョーピョピョピョ」と尻下がりに鳴き、「キーキキキキ」と特徴的な声でも鳴きます。

体は小さくてもより大きなものにも果敢に向かっていくツミ。その対象はカラスにもなります。天敵であるハシブトガラスの襲撃から逃れるためにツミの営巣地の近くで繁殖をしているのがオナガです。ただカラスが増えツミも対処しきれなくなってきているとか。小さくても精悍なツミは結構近くにいるかもしれません。

日の入りの時間は遅くなってきて太陽の日差しに小さな春を感じることも増えてきましたが日の出の時間は1月12日まで遅くなっていきます。1月9日埼玉での日の出は6時52分。日の出1時間前の南東の低空では細い月と金星が近くに見えます。そばにはさそり座の1等星アンタレスも輝いています。

寒さはこれからが本番とはいえ木々の冬芽や足元の草にも少しずつ変化が見つかり始めるようになってきます。『初春』にふさわしい光輝く新鮮なものがたくさん見つかりますように。

ツミの若鳥

  ヤマコウバシ

    ホトケノザ

 



狭山丘陵いきものふれあいの里センターは 公益財団法人トトロのふるさと基金が指定管理をしています