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サツキ、ツツジ、ヤマツツジ~ふれあいの里だより令和6年5月号~

季節をかなり先取りしたような気温の日が続いた4月。瞬く間に桜の仲間が咲き、スミレの仲間が咲き、木々の白い花の季節が進んでいきました。日ごとに緑陰は濃さを増しています。

陽ざしに映えるオレンジ色の花。ヤマツツジもこぼれんばかりに咲いています。

ヤマツツジは日本原産で数多くあるツツジの仲間の代表ともいえます。日本全国の山地に普通に見られる半落葉低木で樹高は1メートルから4メートルでさらに高くなることもあり、ツツジの仲間では最も高くなります。

低山地の林内や林縁、日あたりのよい尾根筋、草原など様々な環境に生えます。春葉と夏葉があり夏葉の一部が冬を越します。春葉は5枚が枝先に輪生し、大きさには変化が多く見られます。

花は直径4cmほどで花弁の一片に濃色の斑点があり、5本あるおしべが目立ちます。毛に包まれた卵型の果実は8月から10月に熟して裂開し、種をばらまきます。

万葉の昔から親しまれてきたツツジは17種ほどが自生していますが、栽培の歴史も古く園芸品種も数多く知られています。江戸時代には今日にも残る品種が作られました。クルメツツジは幕末に久留米藩で作られ、ヒラドツツジは主に長崎県の平戸で栽培されていたことが名前の由来と言われる大型のツツジ品種で歴史は古く、多くの品種があり花の色も様々あります。

多くの園芸品種が作られた元禄時代、染井の植木屋伊藤伊兵衛三之丞は『錦繍枕』を刊行し日本全国から集めた335品種を集成。その中で開花期の遅い品種を『さつき』として区分しました。

ツツジもサツキも総称ですが、一般的にサツキはツツジよりも花も葉も小ぶりで、葉の表面に毛がなく光沢があります。ツツジの花期は3月から5月、サツキは4月後半から6月なのでどちらの花も5月(皐月)には見られます。

サツキは原種としても存在し、本州の関東西南部から西北は福井県、京都府、九州の屋久島までの河岸の岩の割れ目や岩上に生える常緑低木で樹高は50cmから150cm。増水時には水をかぶり枝折れや根の流出などの被害を逆手に取るようにして繁殖します。花期は5月から6月、地方や環境によっては7月で直径3.5cmから5㎝の朱赤色の花を咲かせます。ツツジの仲間では最も遅く咲き開花期も長くなっています。

ただ、本来の開花期以外に返り咲きが多いヤマツツジは、センターエリアではほぼ1年中数輪の花を咲かせている木があります。

ツツジの名前の由来は諸説あり、花が筒状になっているところからや、花が次々に連なって咲く様子や姿から「続き」を語源としたなどの説があります。

ツツジの花には蜜を求めてクロアゲハやアゲハ、クマバチなど多くの虫たちが訪れます。早春に成虫が見られたコツバメの幼虫はツツジ科植物の花やつぼみを食べます。

鮮やかな木々の緑に映えるヤマツツジ。山で公園で、ツツジの花には人々も多く訪れます。

木々の緑に空の青、5月はさわやかな風がイメージされます。草木に虫たち、そして野鳥。様々な生きものが成長し数を増やすころです。このころの季語に『青嵐』があります。薫風で済めばよいのですが、『メイストーム(5月の嵐)』にはお気を付けください。

今年の5月5日は『立夏』。卯の花(ウツギ)が咲き、ホトトギスの初音も聞かれる頃となります。

ヤマツツジ

        ヒメウラナミジャノメ

        ウツギ

 



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