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ハートを背負ってエサキモンキツノカメムシ~ふれあいの里だより令和6年7月号~

今年の梅雨も大雨と猛暑が入れ代わり立ち代わりくるような日が続いています。花の少ない時期ですが足元には小さなヒメヤブランやつる性のヒヨドリジョウゴ、オニドコロなどが咲いています。

ミズキやアオハダは若い実をつけています。よく見ると葉の裏に卵を守っているエサキモンキツノカメムシを見つけられるかもしれません。

エサキモンキツノカメムシは日本全国の平地から山地に分布し、20種ほどいる日本のツノカメムシの仲間の中で最も普通にみられます。

体長は11mmから13mm。背中のハートマークが特徴で、背中の中央にも小さな紋があります。よく似たモンキツノカメムシは背中の模様が丸みを帯びた逆三角形になっていて、突起部分の張り出しが強くなっています。

名前は昆虫学者江崎悌三氏に由来し、黄色の紋があるツノカメムシで『江崎紋黄角亀虫』と付きました。長い名前ですが意外と覚えやすいのではないでしょうか。学名はSastragala esaki Hasegawaで、学名の最後は命名者となっていて、命名者は長谷川仁氏です。命名されたのは1959年、2年前に亡くなられた江崎氏へ敬意を表してつけられたともいえる名前です。

ハートを背負っているところからハートカメムシや、幸せを呼ぶカメムシと呼ばれたりもします。

ハートマークに恥じないような愛情深く見えるカメムシで、メスは産んだ卵を守り、孵化して2齢になり親離れするまで抱きかかえるようにしています。

成虫は4月ころから11月ころまで見られ、成虫越冬をします。身近にいる昆虫なので家の中に入ってくることもあります。見た目は愛らしいのですがやはりカメムシ。危険を察知すると臭いにおいを放ちます。

エサキモンキツノカメムシはミズキ、クマノミズキ、コシアブラ、ウド、ケンポナシ、ハゼノキ、カラスザンショウ、ツタウルシなどの汁を吸います。見やすい位置にあるせいか、センターエリアではミズキよりアオハダでよく見かけます。

マユミやツリバナも若い実をつけています。この木ではキバラヘリカメムシを見かけます。カメムシでも臭くなく、青りんごや若草の匂いがすると言われています。(試したことはありませんが。)

猛暑が気がかりですが、夏本番には多くの虫たちが活動しています。小さな虫からおなじみのトンボやチョウ。ヤマユリには様々な虫が訪れます。6月から鳴いているニイニイゼミに梅雨明けを待っていたかのようにミンミンゼミやアブラゼミが鳴き始めます。シジュウカラやメジロ、若鳥たちの小群にも出会えます。

七夕と言えば織姫(こと座のベガ)と彦星(わし座のアルタイル)この二つの明るい星ともう一つ白鳥座のデネブを結ぶと夏の大三角で、7月7日は21時過ぎに東の空に見えます。

晴れ間も多そうな今年の梅雨。星空も見上げてみたいものです。

エサキモンキツノカメムシのメス

        アオハダ

        ニイニイゼミ



狭山丘陵いきものふれあいの里センターは 公益財団法人トトロのふるさと基金が指定管理をしています