ダイサギ、水辺で優雅に~ふれあいの里だより令和6年8月号~
関東地方は遅い梅雨入りに早めの梅雨明け。今年の梅雨は雨の印象よりも猛暑の印象が強かったように思われます。
暑さのピークを迎えていますが、今年の立秋は8月7日で暦の上では秋になります。10日は伝統的七夕、不安定なお天気が続いているので例年とは逆にこの日のほうが星空が見えないかもしれません。
天の川をみられるような美しい夜空も楽しみですが暑いさなかでも水辺は清涼感を与えてくれます。
そんな水辺に優雅にたたずむ白鷺はさらに目にも涼やかです。白鷺の中で体が大きいのでついた名前が大鷺。ダイサギは全長89cm、翼開長140cmでアオサギと同じくらいかやや小さく、全身白色で頸と足が長いのが特徴です。飛んでいる時だけでなく、長い頸を深くS字に曲げているところがよく見られます。夏鳥として渡来し本州から九州で繁殖するものと、結氷しない本州以南で越冬するものがいます。
ダイサギは水田、湖沼畔、沼沢地、干潟など水辺に棲みおもに魚類を餌とします。カエルやザリガニなども食べます。体に水が付かない程度の水辺をゆったりと歩を進めながら獲物を探し、時には微動だにしないでたたずんでいるかと思うと獲物を見付けた瞬間素早くその長い頸を伸ばし、その長いくちばしで捕まえたり突き刺したりします。
あまり鳴くことはありませんが、飛び立つときに「ガァ」と鳴き、餌を探しているときにその縄張りに入って来たものに「ガァァァァ」「ガガガ」と鳴いて威嚇します。
繁殖期には大きな木のあるところの木の上で集団繁殖地(コロニー)を形成します。ここにはほかのサギ類も混じります。冬羽ではくちばしは黄色、足のももが淡い肉色で、目先は黄色っぽかったのが、夏羽ではくちばし、足は黒色に、目先の裸出部は緑青色になり胸と背に長い飾り羽を持ちます。ただこの時期も若鳥のくちばしは黄色です。
大きい順でダイサギ、チュウサギ、コサギと名前が付いていますがコロニー付近でうまく並んでくれていたら見分けが付きますね。また、肉眼では難しいでしょうが、ダイサギの口角は眼より後方に伸びていますが、チュウサギは眼の下で終わっています。
サギ類のコロニーは『サギ山』と呼ばれ、見沼たんぼの近くにあったコロニーは『野田のサギ山』と称され国の特別天然記念物に指定されていましたが、営巣されなくなり1984年には天然記念物の指定が解除されました。
鷺というのは美しいや、清々しいという意味を持つ『さやけし』からつけられたという説や、白く姿かたちが良いところから『いさぎよし』から略されたとする説などがあります。白鷺を探しながら水辺で少しでも涼やかなひと時を過ごせると良いですね。
今年も残暑は長く続きそうですが、セミの鳴き声はツクツクボウシが主流に変わってきたり、夜にはコオロギの仲間たちの声が聞こえてくるようになったり、野鳥の声を耳にすることも増えてきます。
初秋の花とも言える花たちが7月から咲き始めていますが、8月下旬ころから『花野』が広がり始めます。
花穂を伸ばしてゆき狐のしっぽの形に近くなってきたキツネノマゴにはアゲハや様々なチョウたちが吸蜜に訪れます。
日の出の時間は次第に遅く、日の入りの時間は早くなっていっていますが、8月15日埼玉では5時が日の出、18時31分が日の入りです。
伝統的七夕の後も星空に注目です。12日から13日にかけてはペルセウス座流星群の活動が極大となり、この日は上弦の半月で日が変わる前には沈むので月明かりの影響もありません。15日ごろには火星と木星が超大接近します。
金星は宵の明星として輝き6日は細い月と競演します。土星は宵から明け方まで天空を行き、火星、木星は未明から明け方東の空に輝きます。オリンピックを観ていて夜更かしされた方は東の空を見てからお休みされるのもいいのではないでしょうか。
最後に松尾芭蕉の一句です。
七夕や秋を定むる夜のはじめ
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