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風に浮かぶノスリ~ふれあいの里だより令和6年11月号~

10月の後半になっても夏日の日があり、東京都心では今年153回の夏日、10月に14回の夏日を記録し年間、月別ともに統計開始以来最多記録を更新しました。そんな10月が終わり急速に季節は進む予報で、秋はギュギュっと凝縮されそうです。今年は11月7日が『立冬』。暦の上では冬になりますが、暦通り冬将軍が下見にやってきそうです。

ガマズミやオトコヨウゾメの赤い実、ヒサカキの黒紫色の実、木々はそれぞれの姿で野鳥たちに種を運んでもらおうと「食べて、食べて!」とアピールしているようです。

ジョウビタキやルリビタキも加わり日ごとに野鳥たちで賑やかになっていく狭山丘陵。小鳥ばかりではなく春以降目にすることのあまりなかった猛禽類も目にするようになります。それがノスリです。

ノスリはメスが全長57㎝、翼を広げると137㎝の中型のタカです。オスは5㎝くらい小さく、日本全国の山地や低山地の森林で繁殖しています。秋冬には低地や平地に移動し、狭山丘陵ではこの頃見られることがほとんどです。また、ユーラシア大陸の温帯に広く分布し、冬には日本に渡ってくるものもいます。

上面は褐色で下面は淡い黄褐色。胸と翼の前方中央に黒褐色の大きな斑があります。翼は丸みがあり、短めの尾は開くと扇のように丸くなります。トビよりも一回り小さく、トビの尾は飛んでいる時は先が直線になるので区別が付きます。猛禽類とはいえ全体的に丸い感じで親しみやすい姿です。

巣は林の中の樹上に造りますが、狩りをするのは農耕地や草原、原野などの開けた場所です。主食はネズミやモグラの仲間などですが、小鳥やカエルなども食べます。空中でホバリングをしながら地上の餌を探すこともよくあります。空中から急降下して餌をとる場合と、樹上などで獲物を狙い急降下する場合があり、その際地面に顔を擦るように低空飛行するところから『野擦り』とされたという説があります。その色彩から『馬糞鷹』と呼んでいた地方もありますが、農耕地などでネズミなどを狩るので農地の守り神とも呼ばれています。

鷹ひとつ  見つけてうれし  いらご崎

と松尾芭蕉が詠んでいますが鷹は冬の季語。この句が詠まれたのも現在の暦では12月中旬頃で、ここで詠われている鷹はノスリの可能性が高いと言えます。ちなみに『鷹渡る』や『鷹柱』は秋の季語になります。

短い羽ばたきで風をとらえ、翼と尾羽の角度を調整しながら風の中バランスをとって空中に浮かぶノスリの姿が観やすい季節となりました。

澄んだ空を見上げると、腹帯をして丸い尾をした姿が見つかるかもしれませんよ。

秋の夜長と言われるとおり、狭山丘陵あたりでは立冬の日の日の出は6時8分で、日の入りは16時43分。5日の夕方には細い月と金星、11日の夕方から深夜には月と土星、20日の深夜から明け方には月と火星が接近します。明るい星は少ない季節ですが空気が澄み、冷え込みもまだそれほどではないので星空を眺めるのにはよい季節です。冬の代表的な星座オリオン座も次第に早い時間に昇ってくるようになります。明るい星の多い冬が近づいてきています。

少なくはなりましたがチョウの姿もまだ見られることでしょう。小さな虫たちがヤツデやコウヤボウキなどの花に来ている姿もよく見られます。目立たないものの意外とまだ虫たちは沢山いますよ。

ノスリ

  ノスリの飛翔

        キタキチョウ



狭山丘陵いきものふれあいの里センターは 公益財団法人トトロのふるさと基金が指定管理をしています