秋の野にセイタカアワダチソウ~ふれあいの里だより令和7年10月号~
残暑が続き今年も秋は短くなる予報とはいえ、星空は秋に変わっています。6日は中秋の名月で、今年は遅めですが植物も遅れ気味のものがあります。ススキもちょうど穂を出す頃となりそうです。
ススキとともに秋の野で見られるのがセイタカアワダチソウです。
セイタカアワダチソウは北メリカ原産のキク科の多年草で、川の土手や荒れ地などに群生し、高さは2.5メートルになることもあります。明治時代に観賞用などに栽培されていたものが野生化し、戦後アメリカからの物資に種子等が付着し急速に日本全国に広がりました。炭鉱の閉山の時期に増えたことから閉山草、ベトナム戦争の頃増えたのでベトナム草とも呼ばれました。
繁殖力旺盛でやっかいな害草として嫌われる反面、今や秋の風物詩のようにもなっています。地下茎を伸ばして増え、ほかの植物の成長を阻害する物質を根や葉から出しています。すさまじい威力を持つこの物質は土壌に蓄積され、やがてセイタカアワダチソウ以外の植物が全く生えなくなります。さらにはセイタカアワダチソウも育つことができなくなり、再びススキなどが勝ち誇ったかのように生えてくるようになります。
セイタカアワダチソウという名前は、在来種のアキノキリンソウの多数集まって咲く花が、酒造りの時に生じる泡のように見えることからアワダチソウの別名があり、近縁で草丈が高いことから『背高泡立草』とついたとされます。たくさん集まっている黄色の花には2種類あり、花びらのように見える舌状花は雌性で、筒状花は両性です。花が咲き終わると綿毛のある種子ができ、風に乗り新天地へと旅立っていきます。
秋の花粉症の原因とも言われましたが、花粉を虫に運んでもらう虫媒花なのでこれは誤解です。原産地では最も遅く咲く蜜源植物として養蜂家たちに重宝がられ、日本でも明治時代に鑑賞以外に蜜源植物として栽培され始めました。
葉は目の細かい紙ヤスリのようにザラザラしていますが、付け根から先端に指を滑らすと、するするとなめらかに進みます。太く頑丈な茎は萩の代用として簾に使うことができ、代萩とも呼ばれます。
花や葉、茎を乾燥させてハーブティーや薬用入浴剤としても利用されます。
原産地以外でもヨーロッパで民間療法に使われてきました。主な有効成分は抗炎症作用のあるサポニン、抗酸化作用のあるフラボナイド、代謝促進効果のある各種酵素が含まれていて、『庭に咲くと幸運が訪れる』『持ち歩くと運命の人に出会う』といった言い伝えもあるくらいです。
日本では要注意外来生物に指定され、日本の侵略的外来種ワースト100にも選ばれていますが、花の少ない時期に虫たちにとって貴重な蜜源であり、草丈の高い群生地は野鳥たちの隠れ家にもなっています。風に吹き飛ばされる前の種子は野鳥たちの餌にもなっています。
これからの季節、次第に少なくなってきたチョウや小さなハエやアブの仲間などがセイタカアワダチソウに訪れる姿を目にすることができるでしょう。
野鳥たちはまだ移動中のものが多く、普段あまり出会うことのない野鳥にも出会えることがある時期です。今年は実りがあまり良くないようですが、木の実を糧にまた別の土地へと移動していきます。
6日未明に月は観察シーズンを迎えた土星と並び、夕方から宵にかけても並びます。7日は満月で、13日深夜から14日明け方には木星と接近し、20日の未明には東の空で金星と接近します。
8月中旬に急増光し、双眼鏡で見えるようになったレモン彗星が10月に明るくなると予想されています。20日頃までは未明から明け方の北東~東北東の空で5等前後、15日頃以降は夕方から宵の北西~西南西の空でも見られ、4等前後が見込まれています。地球に最接近する21日の日の入り後、明るいうしかい座のアルクトゥールスの斜め右上あたりを双眼鏡で探してみてください。この日の真夜中から明け方にかけてはオリオン座流星群が活動のピークを迎えます。秋の夜長、星空も楽しみです。
セイタカアワダチソウ |


