冬の彩りウスタビガの繭~ふれあいの里だより令和8年2月号~
最強最長寒波が居座った1月。日本海側では大雪、太平洋側は広く晴れて乾燥。火事のニュースも多く聞かれました。
2月4日に『立春』、19日に『雨水』となる今年ですが本格的な春はもう少し先。葉を落とした木々の梢が北風に揺れます。
そんな枝先に鮮やかな緑の、そう若草色の小さな袋のようなものがぶら下がっているのを見かけることがあります。
これはウスタビガの繭です。こんなに目立っていてはすぐに野鳥の餌になってしまいそうですが、中はもう空です。
ウスタビガは北海道から九州の平地から山地に分布するガです。ヤママユガの仲間で世界最大種を含む大型のものが多い中では小さめで、翅を広げると80mm~102mmです。また、この仲間は初夏から秋にかけて成虫が発生するものが多い中、年1回10月~11月の晩秋に成虫が発生し、12月になっても見られることがあります。
地色は日本の伝統色で言うとオスは赤朽葉、メスは刈安色でメスの方が大きく共に落葉や紅葉(黄葉)に擬態しているのではと言われます。色には個体差がありますがそれぞれの翅には半透明の銀紋がひとつずつあるのが特徴です。口は退化していて何も食べず、ただ繁殖相手を探し1週間ほどの成虫期を終えます。羽化直後のメスにオスが訪れ、そのまま出てきた繭に産卵することもよくあります。卵で越冬するので揺れながら春を待っているものも多いことでしょう。
ウスタビガは漢字では薄手火蛾と表記し、手火は手にもって道を照らす提灯のことで木の枝にぶら下がっている繭が提灯に似ていることに由来します。また薄足袋蛾と書いて繭を足袋にみたてたという説もあります。
いずれにしても繭から名前が付いているようですが、中に蛹が入っている時期には木々の緑の中で保護色となっています。
春に羽化するとクリ、コナラ、エノキ、サクラ、カエデなど様々な落葉樹の葉を食べて育ちます。触れると「キーキー」や「キュッキュッ」と音を発し、鳴く幼虫としても知られます。幼虫はコマユバチ類などの寄生蜂に寄生される率が高く、蛹化しても羽化できないものも少なくありません。
6月中旬から7月上旬ころに樹上の細い枝に営繭し、繭は最後に上部を閉じますが底には穴が開いていて雨水が抜けるようになっています。秋に羽化後の繭が落ちていることがありますが、上部を左右から押すと口が大きく開きます。叺(カマス)という藁蓆を二つ折りにして縄で閉じて袋状にした容器に似ていることからヤマカマスやツリカマスとも呼ばれます。地方によりさまざまに繭や蛹をお守りや民間療法薬として使ってきました。
ウスタビガは灯火に飛来しますが昼間も活動し、夜も宵のうちに活動するようです。メスは早朝と夕方に活発に活動するとされています。
越冬形態と言い、成虫の発生時期と言い、夜行性とも昼行性とも分類しがたい所と言い、ほかのヤママユの仲間とは少し違ったウスタビガ。今の季節寂しい色合いの森に華を添えるような、繭を探してみるのも面白いのではないでしょうか。
凛と張りつめた空気に明るい星が多い今は絶好の星空観察期。2日は満月でスノームーンと呼ばれます。1日からほぼ真ん丸の月が見られます。惑星では木星が見ごろ、27日の夕方から未明には月と接近します。明るい6つの星を結んだ冬のダイヤモンドの中に位置するのでとりわけ華やかなことでしょう。そろそろ見ごろが終わる土星は夕方西の空に、中旬頃からは宵の明星金星が西の空に見えるようになり18日には細い月と接近します。夕方西の空低く見える水星は19日の夕方から宵に細い月と接近し、25日には土星と、28日には金星と接近します。この日埼玉での日の出は6時13分で日の入りは17時35分。随分昼間の時間が長くなってきています。
いつ咲こうかと待っているようなコブシのつぼみ、河津桜にはメジロが蜜を求めてやってきます。光の春に誘われて成虫越冬しているムラサキシジミが日向ぼっこに出てくるかもしれません。
ウスタビガ |


