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ヤマガラ、どこかのどかに春を歌い

(所沢市HPふれ里だより平成25年4月号」より)

寒さの厳しかった2月から一転、3月は気温の高い日が続き、春が駆け足でやってきました。
もともと春は変化が早いのですが、今年はさらに早く感じられます。ソメイヨシノもヤマザクラもすでに花吹雪の中、「ツツピー ツツピー」とシジュウカラのさえずりが聞かれます。

その声に交じって聞こえてくる、同じような鳴き声でゆったりとしたテンポのさえずり。これは同じカラ類のヤマガラです。

カラは軽々しく動くことからと言われ、人家近くの林を裏山と呼びますが、その山に棲むカラで、ヤマガラとも、山吹色のカラだからとも言われます。日本全国の平地から山地に生息しますが、特に西南日本に多くいます。常緑広葉樹林を好み、大木のある公園などでも見られます。
日本以外では朝鮮半島や台湾だけにいて、国内でも数は多いほうではありません。日本南部の離島に生息するものは多くの亜種に分けられていますが、代表的なものは伊豆諸島南部にすむオーストンヤマガラで、これは絶滅の恐れがあります。

現在では捕獲は禁止されていますが、人になつきやすく、1980年ころまでは器用で、芸も覚えることから、神社などでおみくじを引く芸を披露したりしていました。
おもに木の高いところで枝から枝へとくるくると飛び回りながら、ガの幼虫などを捕らえて食べ、どんぐりや堅い実などは枝にとまり足指で押さえてくちばしで割って食べます。貯食をするのも特徴で、木の実を幹の割れ目や朽木の中などに押し込んで蓄えます。
1年を通してペアで行動しますが、冬季はほかのカラ類と一緒に混群に入ることもしばしばです。巣は樹洞に作り、時にはシジュウカラに横取りされることもあります。

あちらこちらへよく動きまわるヤマガラに、どことなくのんびりした印象を受けるのは、尾が短く、全体に丸く見える愛くるしい姿や、鼻にかかったような地鳴き、のんびりしたさえずりも影響しているのかも知れません。

いつしか蛹で冬を越したアゲハの成虫が見られるようになり、芽吹いた木々の葉は森をパステルカラーに彩ったかと思うとみるみる深緑へと変わっていきます。
カタクリは地下での眠りに入り、オトコヨウゾメ、カマツカが咲き、木々の花咲く5月へと時は流れます。弾けた春は次第に静けさを取り戻しつつ、生気溢れる季節へと変わっていきます。


ヤマガラ

アゲハ

オトコヨウゾメ


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