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ほー ほー ほたる来い

(所沢市HPふれ里だより平成26年7月号」より

今年も6月下旬からセンターエリアではニイニイゼミが鳴き始めました。足下ではジャノヒゲ、オオバジャノヒゲ、ヒメヤブランなどのユリ科の花たちや、お正月には赤い実を付けているカラタチバナ、ヤブコウジなどが静かに花を咲かせています。

梅雨が明ければ夏本番。夏の風物詩ホタルは梅雨さなかの6月から成虫の舞いが見られます。

日本にいるホタルの仲間は約50種。ゲンジボタル、ヘイケボタルが代表と言えますが、成虫が光らないものが大半です。今では観光名物になってしまったようでもありますが、いたって身近な存在でした。

ゲンジボタルは山の渓流、ヘイケボタルは水田や湿地と、大ざっぱに言えば住み分けていますが、両方が見られるところも少なくありません。美しい水流を必要とするゲンジボタルの方がヘイケボタルより環境依存度が高いとされますが、ヘイケボタルが激減しているのが現状のようです。
護岸工事や農薬散布が原因でもありますが、水田や湿地自体が減ってきていることが大きいでしょう。また、人工照明や夜間の車のライトもホタルの住む環境を減らしています。人間が手に入れた便利さによって失われたものは数知れないと言えます。

ゲンジボタルは6月から7月上旬にかけて成虫が見られますが、ヘイケボタルは近くでも場所によって発生時期がずれるので、6月下旬から時には9月頃まで見られます。
より光の強いゲンジボタルが鑑賞されることが多いものの、優しい光りで早く点滅するヘイケボタルも幽玄的です。点滅のスピードには地域差がありますので、不用意に放したりすると混乱が生じます。ホタルに限らず、『捕らない、持ち込まない』を心がけたいものです。

ヘイケボタルの幼虫は、北海道から九州の水田や池などの水中にすみ、タニシやカワニナなどの淡水性の貝類を食べて育ち、翌年の6月ごろから陸へ上がり、土中にもぐって蛹になります。成虫は水を飲むくらいで、何も食べず子孫を残して死んでいきます。その間約2週間、雄と雌はお尻にある発光器で冷たい光を点滅させ愛のシグナルを交わしています。そして産み付けられた卵は既にほのかな光りをたたえています。

曇りで蒸し暑く、風のない夜などは絶好のホタル日和。ホタルは『星垂る』から来たとの説もあります。夜空の星が姿を変えて降りてきたのかもしれませんね。

春に発生したアゲハチョウの仲間たちの夏型が出始めるのも7月。シジュウカラやヒヨドリ、コゲラなど野鳥たちの若鳥たちが幼い声で鳴き交わしながら木から木へ虫を探している姿が見られますが、親たちは今年2回目、あるいは3回目の子育て中です。
これから虫たちが一番活動を盛んにする時季です。セミの声もにぎやかさを増し、種類、数ともに増えていきます。多くの命を抱えている深緑の森は、爽やかな木々の香りで人々を癒してくれることでしょう。


ヘイケボタル

ヒメヤブラン

ジャコウアゲハ


狭山丘陵いきものふれあいの里センターは 公益財団法人トトロのふるさと基金が指定管理をしています