1. TOP
  2. いきふれ自然情報
  3. 冬茜、コナラ夕空に映え

ここから本文です。

冬茜、コナラ夕空に映え

(所沢市HPふれ里だより平成26年12月号」より

ここにもあったのかと気づかせてくれていたアオハダの黄葉も終わり、ヤマザクラなどはすっかり葉を落とし空が透けて見えるようになってきました。個体差はありますが、コナラの紅葉はまだ少し楽しめます。

雑木林の代表とも言うべきコナラ。いにしえから燃料などにされるため人の手により植えられ、15年から20年ほどで切っては萌芽更新すると切り、繰り返し使われてきました。その落ち葉も掃き集めて堆肥にされてきました。
あまりに身近であまり注意を引くこともないようですが、この時季、ほかの落葉樹に引けをとらない美しさを見せてくれています。コナラは黄色や褐色になるものが多いのですが、紅葉することもあります。
特に幼樹は紅くなるものが多く、冬でも葉を落としきらないものも見られます。コナラだけで様々なバリエーションの紅葉を見せてくれるのですが、西に傾いた日差しを受け、その輝きにはっとさせられることさえあります。

芽吹きの季節も青みがかった銀白色の個性豊かな表情を見せてくれます。雌花は小さく目立ちませんが、黄色い雄花序は、パステルカラーのグラデーションにさらに輝きをもたらせます。

やがて深緑の季節となり、コナラは多くの命をはぐくみます。オオミドリシジミ、アカシジミ、ミズイロオナガシジミなどのゼフィルスたちの幼虫は葉を食べ、今まさに成虫が飛び始めているクロスジフユエダシャクやイチモジフユナミシャクなどのフユシャクたちの幼虫も、コナラの葉を食べて育ちます。ガに関しては実に多くの種が食草としています。
そして樹液にはカブトムシやスズメバチの仲間たち、ルリタテハやサトキマダラヒカゲなどのチョウたちも訪れます。
まだ青い実に卵を生み付け、枝を落とすハイイロチョッキリ、コナラシギゾウムシも実に産卵します。実(ドングリ)は、冬鳥としてこのあたりにやってくるカケスの好物でもあります。

身を削るように数々の命を育み、最後の輝きを放っているコナラ。その枝先には春の再生を約束する5ミリ前後の冬芽が寄り添うようについています。

落ち葉を踏みしめて歩いていると、足下にはムラサキケマンが春一早く咲く日を待っているかのように優しい緑の葉を広げ、お正月飾りにも使われるカラタチバナやマンリョウなどは紅い実をつけています。
冬はこれから、昼間は冬越しのためにやって来たものも加わりひときわにぎやかになった野鳥たちの声でにぎわい、凜とした夜空には多くの明るい星たちが瞬いています。


コナラ

イチモジフユナミシャク♀

ムラサキケマン


狭山丘陵いきものふれあいの里センターは 公益財団法人トトロのふるさと基金が指定管理をしています