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森に響く口笛、アオゲラの歌(所沢市HP「ふれあいの里だより平成30年4月号」より

今年は寒い冬から一転、初夏を思わせるような陽気の日もあり、一気に百花繚乱となった3月。あっと言う間に桜前線が駆け抜けていきました。
木々は芽吹き始め、虫たちの活動も活発になって来ました。シジュウカラも巣造りを始め、いよいよ野鳥たちの子育てシーズンが本格的になって来たようです。

「ホーホケキョ」というウグイスのさえずりが春ののどかな気分をさらに盛り上げてくれますが、森には様々なさえずりが響いています。

そんな中、「ピョー、ピョー、ピョー、ピョー」と口笛のような声が聞こえてくることがあります。これは本州から屋久島の、低地から低山の広葉樹林に棲むアオゲラの声でさえずりです。
アオゲラは全長29cmで、ハトより少し小さいくらいです。体の上面が黄緑色で、下面は淡緑灰色で腹部には黒い横斑があり、赤いベレー帽をかぶったような姿をしています。このベレー帽はオスのほうが長くなっています。英名は。Japanese Green Woodpecker。学名はPicus awokera。名前から想像がつくかと思いますが、日本固有種です。漢字では緑啄木鳥。ケラはキツツキのことで、緑色をしているところから名前が付いたとされますが、昔は緑色を『あお』と呼んだことからきています。
キツツキの仲間は木の幹に縦にとまることが出来ますが、足指が他の鳥は前に3本後ろに1本となっているところ、前後2本ずつになっていてさらに鋭い爪がついているからです。そして第3の足とも言えるのがくさび形の尾羽で、羽軸は固くなっています。その尾羽に体重をかけて体を支えることが出来る様になっているのです。
アオゲラは目の前に出てくればクモ類や昆虫類も食べますが、基本的にはアリ食の鳥で、木の枝や幹、地面にも降りて食べます。秋冬には木の実も食べ、エサ台に置いてあるリンゴなども食べに来ます。
巣を生きている木の幹にくちばしで穴を掘って造る名大工アオゲラ。脳震盪を起こさないか心配になるほど激しく幹を突きます。でも心配には及ばず、頭骨とくちばしが直線的に繋がっていて衝撃を頭骨全体で受け止め丈夫な首を通して体全体に分散吸収されるようになっているのです。また頭骨には、くちばしの中にある長い舌がぐるりと回って格納されています。
そして名大工のくちばしは三角のノミのような形をしていて、さらにくちばしの根元にある鼻の穴に木くずが入らないように、羽毛が覆いかぶさるように生えています。
「アオゲラが木を突いて枯らしている。」これは濡れ衣で、木をつついてアリを探しているので、すでにアリの仲間やシロアリなどにむしばまれている木を救っているとも言えます。アオゲラは口笛のような声の他に、木を突いて高らかなドラミングをして縄張り宣言や求愛行動をします。
普通に見られるアオゲラ、世界で日本にしかいないと思うと見方が変わって来ませんか。

ウワミズザクラが咲くころにはソメイヨシノはすっかり緑の装い。カマツカが咲き、続くように木々は白い花を咲かせていきます。草丈の低かったタチツボスミレも花を終えぐんと草丈を伸ばしはじめます。蛹で冬を越したキアゲハは成虫となり、目にするチョウの数も増えていき季節は初夏へと移ります。
今年は4月20日が『穀雨』春もいよいよ最後、恵みの雨はさまざまな穀物の成長を助けてくれる頃となります。


アオゲラ

カマツカ

キアゲハ



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