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イチモンジチョウ 夏の森で(所沢市HP「ふれあいの里だより令和元年7月号」より)

7月は3分の2が梅雨にあたる関東甲信地方、今年は梅雨明けが遅くなる可能性もあるとか。

6月にウツギやイボタノキが咲き5月から続いていた木の白い花の季節が終わり、一足遅れてリョウブが夏の訪れを告げています。7月上旬に咲いていたリョウブですが近年は6月下旬に咲き始めています。

イボタノキ、リョウブどちらも白い小さな花をたくさんつけますが、こういった花を好む傾向にあるのがイチモンジチョウです。

イチモンジチョウは北海道から九州と色丹島、奥尻島、佐渡、隠岐、五島列島に分布し国外ではユーラシア大陸北部に広く分布するタテハチョウ科のチョウです。

幼虫の食草はスイカズラ、キンギンボク、タニウツギ、ヤブウツギなどで、同じスイカズラ科のウグイスカグラも個体によっては食べることがあります。生息地の範囲は広く、沖積平野、山麓、渓谷などの食草が繁茂する林縁の明るい場所ですが、九州南端の佐多岬にはスイカズラが多いのに個体数は少なく、種子島以南では確認されていません。

3齢幼虫で越冬し、狭山丘陵あたりでは5月から10月ころまで成虫が見られ、年3回から4回発生を繰り返しています。花によく吸蜜に訪れ、獣糞や発酵した果実にも来ます。オスはしばしば地上に降りて吸水します。吸蜜や吸水時には緩やかに翅を開閉します。

森の中を歩いているとすっと飛んできて地面や低木の葉の上で翅を広げ、その名の通り一筋の白帯を見せてくれます。白帯の幅は地域的に変化し、よく似たアサマイチモンジとも白帯で見分けがつきます。近づいてよく見ようとすると飛んで行きしばらくするとまた戻ってきます。これはオスの占有行動で、他のチョウが縄張りに入ってくると追尾します。活動範囲は広く地上すれすれから高木の枝先にもおよびます。

卵は食草の葉に産み付けられ、孵化した幼虫は、葉を食べながら糸を吐き糞をつぎ足しながら体長とほぼ同じ長さの5ミリメートルほどの『塔』を作ります。葉を完全に食切ることは少なく萎れた葉は幼虫の吐いた糸で支えられています。塔の上で静止していることが多く体色はふ化直後の淡緑色から暗褐色に変わり塔に溶け込むようになります。2齢になると塔は作らなくなります。最初の葉の中脈だけを残してほとんど食べつくすまで他の葉には移らない傾向があります。終齢(5齢)になると体色は緑色になり昼間は葉の表や茎に制止し、主に夜間に葉を食べます。食草で蛹になることが多いですが近くの植物に移って蛹になることもあります。

亜熱帯環境下では少ないイチモンジチョウ。温暖化の影響が心配されます。

七夕は梅雨のさなかのこともあり星空が期待できないことが多いのですが、7月10日に土星は地球から見て太陽と反対方向になり見ごろを迎え、小さな望遠鏡でも輪が確認できます。この夏は土星と木星も天の川を挟んで輝いています。

所沢の地名の由来になったと言われるオニドコロの花が涼やかに咲き、小さな星を思わせるヒメヤブランも可憐な花を咲かせています。ヤマユリやヤブカンゾウが華やかに咲き、クサギは甘い香りを放ち夏の間中咲いています。

7月はチョウが多くみられる時です。ヒグラシ、ニイニイゼミなども鳴き始めます。虫たちが一番活発になる季節は始まっています。シジュウカラの若鳥の群れにも出会える森は森林浴に最適の季節を迎えています。

イチモンジチョウ

   スイカズラ

   リョウブ



狭山丘陵いきものふれあいの里センターは 公益財団法人トトロのふるさと基金が指定管理をしています