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アカタテハ、近くにきっと~ふれあいの里だより令和4年3月号~

光の春から本格的な春へ。2月の半ばを過ぎたころからモズやエナガ、シジュウカラなど身近な野鳥たちも恋の季節を迎え何やら落ち着かない様子です。木の枝から枝へ、そして地面におりてはクモや越冬している虫などを見つけては食べているようです。

チョウは卵、幼虫、蛹、成虫それぞれの姿で冬を越しています。野鳥たちの餌になってしまったものも少なくないかもしれません。

成虫越冬するアカタテハは日本のほぼ全域の山地から人家の近くまで幅広い環境の、視界の開けた明るい場所や林縁に生息し、早春から飛び始めます。年2回から4回発生し、5月上旬から11月上旬くらいまで見られる地域が多く、温暖な地域では幼虫で越冬することもあります。

ヒメアカタテハと似ていますが、前翅が30ミリメートルから35ミリメートルと25ミリメートルから33ミリメートルのヒメアカタテハより大きく、後翅が茶色いことで区別がつきます。

幼虫はイラクサ科のカラムシ、イラクサ、ヤブマオなどの草本や、ニレ科のケヤキ、ハルニレなどの木本の葉を食べます。幼虫の体にはたくさんの突起物がありますがふれても毒はありません。ただし比較的硬い葉を食草にしているのであごは強く、嚙まれないように注意した方がよさそうです。幼虫は食草の葉を左右から綴じて巣を造り、身を隠しています。蛹になる時には羽化できるように下端をあけた巣を造ります。

成虫の翅の地色は茶褐色でオレンジ色を帯びた赤い斑紋が目につき、アカタテハの名前の由来となっています。雌雄を見分けるのは困難で、地理的変異や季節変異も知られていません。

素早く不規則に飛翔し、花から花へと吸蜜して回ります。熟して落ちた果実や樹液にも来ます。地面で吸水していることもあります。

世界的に見てもインドからオーストラリアまで広く分布し、様々な環境で生息し寒さにも比較的強いアカタテハ。冬でも日向ぼっこに出てくることがあり、ほぼ1年中活動をしているというちょっと珍しいチョウです。とは言え、それほど頻繁に出会えるわけではなく、近年数を減らしていると言われています。どこで出会ってもおかしくないともいえるアカタテハ。秋が一番よく見られますが、そろそろ越冬していたちょっぴり傷ついた翅のアカタテハに出会えるころとなります。意外と車庫の天井付近などでそっと春を待っているかもしれませんよ。

今年は梅や椿をはじめセンター周辺では花の咲き方が少し遅いようです。もっとも最近早くなっていたので元に戻ったと言えるかもしれません。

気温の高い日が続くと春は一気に進みます。桜の開花も今年は早い予報です。モンシロチョウは早々に羽化、成虫越冬をしていたキタキチョウやテングチョウ、ムラサキシジミにも出会えるようになってくるでしょう。

『春はあけぼの』と言えば枕草子。3月は夜明けの時間も早くなってきていますが、未明から夜明け前には東の低空に金星、火星、土星が集い、日々並び方が変わっていきます。ひときわ明るい金星に16日ごろには火星が、29日ごろには土星が接近します。夏の大三角の、こと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブを追いかけるように朝焼けが広がります。

アカタテハ

   シジュウカラ

    ヤマザクラ



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