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コジュケイの呼ぶ声響く~ふれあいの里だより令和4年7月号~

観測史上最短の梅雨となり、緑を深くした森の木々も水不足を心配しているかのように思えます。

緑の向こうからよく響く声で「チョットコイ、チョットコイ」と呼ばれても姿が見当たらない。これがコジュケイです。

コジュケイは本州以南の冬に積雪のない温暖な地方の平地から低山地の人家周辺や農耕地、雑木林などに一年中棲んでいます。全長27cmほどで、雌雄同色。丸い体に短い尾、そして太くしっかりした足をしています。「ビィッググイ  ビィッググイ」と大きな声で何度も繰り返すのが特徴でこれを前述のように聞きなしています。「キョォーウ」などとアオゲラの声に似た声を出すこともあります。大きな声を出すわりに警戒心が強く、姿はなかなか見せてくれません。偶然行き会うと慌てて走り去りますがその姿がなんともほほえましく、つい声をかけたくなります。飛ぶのは苦手でその分発達した足で走るのは得意です。飛べないわけではないので時にはバタバタと飛んで逃げます。

小綬鶏(こじゅけい)の綬は勲章に付けられている布製の帯のことで、胸に綬を付けたようなジュケイと呼ばれる鳥に似ていてそれよりも小さいことから名前がついたとされています。

キジの仲間でウズラや特別天然記念物のライチョウに近いですが、コジュケイは外来種です。1915年に東京で飼育していたつがいが逃げ出し1919年に神奈川で放鳥され個体が増え、関東大震災の時には飼い鳥が多く逃げ出したと言われています。さらに1930年から1970年ころまでは狩猟鳥として全国各地で盛んに放鳥されました。

中国南部で自然分布していたコジュケイが日本で野生化してから100年を過ぎ、今ではすっかり身近な野鳥になったようです。在来種への影響がほとんどなかったことと、狩猟鳥として毎年11月15日から翌年2月15日まで狩猟が認められていることが大きな要因でしょう。

産卵期は4月から6月で、低木やササの下草で覆われた場所にくぼみを堀り営巣します。草木の葉や種子、昆虫類やクモなどを食べる雑食性で、地面でミミズを獲っていたりもします。

樹林性の野鳥の中でも、歩いて藪から藪へと移動するコジュケイは、大きな緑地が減り、樹林が孤立化することにより生息範囲が狭められている可能性があります。また、狩猟のための放鳥もなくなり数は減ってきているようです。

「People pray People pray」(人が祈る 人は祈る)英語圏ではそう聞こえるそうです。コジュケイは森を残してと祈っているのかもしれませんね。

華やかなヤマユリ、太陽の似合うヤブカンゾウ。オニドコロやヤマノイモの小さな花は涼しげに咲いています。

梅雨明け宣言の出る前にいち早く梅雨明けを知らせるようにニイニイゼミが鳴き始めていました。遅れがちだったゼフィルスがまだ見られ、夏型のカラスアゲハなども発生しています。長くなりそうな今年の夏。虫たちも多く発生するのでしょうか。若鳥を連れたコジュケイ、シジュウカラはまだ若鳥だけで群れをつくり、木の枝などで鳴きかわしながら虫をついばんでいる姿を目にします。

今年の七夕は星空も期待出来そうです。東天の見やすい高さに織姫星のベガ、牽牛星のアルタイルが宵の空に輝きます。7月13日から14日にかけての満月はスーパームーン。今年見える満月のうちで最も大きく見えます。

コジュケイ

  羽化したアブラゼミ

   オニドコロ



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