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秋の空高く飛ぶトビ~ふれあいの里だより令和5年10月号~

いつまでも続く残暑の中、新米の便りが聞かれるようになりました。のどかな田園風景の秋空高く悠々と舞う野鳥。こんな懐かしい風景に似合うのはやはりトビではないでしょうか。

トビはオスが全長59㎝、メスが68㎝のカラスよりかなり大きいタカです。全身褐色で、飛んでいる時に尾羽の先端が直線的にそろって見えたり、中央が凹んで見えたりして三味線のバチのように見えるのが特徴です。上昇気流を利用して輪を描くように滑空しあまり羽ばたきません。この時尾羽でうまくバランスをとっています。翼の先端部分に白っぽい斑紋が見えることや、翼の先が6つに分かれるのもトビの特徴です。

「ピーヒョロロロ」と鳴きながら飛ぶことが多いので、この鳴き声を聞くとトビだと確信が持てます。

トビは日本全国に1年中生息しますが沖縄ではまれです。海岸、河川、池沼など水辺に多く、農耕地でもよく見られ、最も身近な猛禽類と言えます。主に魚や動物の死体を食べ、自然界の掃除屋さんとされます。生ごみや残飯も食べるので時にはカラスと縄張り争いになることもあります。

積極的な狩りをしないので、トビが上空を飛んでいても近くにいる野鳥は警戒しません。とは言え時には魚を捕ったり、カエルやネズミなどの小動物を捕ったりすることはあります。とても視力が良く上空を飛びながら餌を見付けると急降下して捕えます。ほかの野鳥たちに警戒されないばかりか人にもタカの仲間の中では低く見られていることを表すことわざが『鳶が鷹を産む』です。

『鳶に油揚げをさらわれる』ということわざもありますが、積極的に人を襲ってくることはないものの、食べ物めがけて急降下してくることはあります。

トビの名前は空高く飛ぶことからついたとされます。英名でもBlack Kite(黒い凧)で空高く舞うイメージです。高所で作業をする建設業の職人を鳶職、木造の建築物の解体や移動などに使われるトビのくちばしのような形状の鉄製の穂先を長い柄の先に取り付けた道具を鳶口。トビの羽の色のような茶褐色を鳶色。トビが身近な野鳥だったことを表しているようです。

童謡「とんび」にも歌われ、トンビとして親しまれながら「なんだトンビか。」とも思われてきた節があります。魚の死体が打ち上げられる水辺や生ごみなどがたくさんある場所など餌が豊富なところでは多くのトビが集まっていることもあり、出会える機会の一番多いタカの仲間です。古くから親しまれてきたトビ。日本書紀には金色のトビが飛んできて神武天皇を救ったという話も記述されています。

やっと秋らしくなってきたかと思えば8日は『寒露』で24日は『霜降』と、暦の上では冬はもうすぐです。タカの渡りはニュースにもなりますが、サシバ、ハチクマ、ノスリは9月から10月上旬に東南アジアへと越冬に向かいます。ゆく鳥来る鳥で落ち着かない時期、色鮮やかな木の実は野鳥たちを迎えているかのようです。

チョウにトンボそしてバッタの仲間。10月はまだまだ昆虫たちに出会えます。

日暮れも早くなり夜空を楽しむ時間も長くなりました。11日の夜明け前には細い月と金星の競演にしし座のレグルスも加わります。21日の深夜からはオリオン座流星群、24日の夕方から翌日の未明には上弦を過ぎた月と土星が接近。そして29日未明から明け方、西の空に沈んでいく月の一部が地球の影に隠される部分月食が起こります。見守るように輝くのは木星で、29日の夕方から30日の未明に接近します。この辺りでは中秋の名月は雲の合間に観られましたが、27日は十三夜です。『十三夜に曇りなし』の言葉通りになりますように。

トビ

  ガマズミ

    アキアカネ

 



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