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大器晩成ツルウメモドキ~ふれあいの里だより令和5年11月号~

長い夏の後駆け足で秋がやってきたと思ったのもついこの間のようですが、11月8日は『立冬』で暦の上では冬になります。

冬越しにやってきたジョウビタキの声も耳にするようになり、野鳥観察に最適な冬を前にセンター周辺でも野鳥たちでにぎやかになってきました。

木々の実りは野鳥たちのごちそうです。そして実を食べてもらうことにより種は運ばれて行きます。

日本全国に分布するツルウメモドキもそんなごちそうの一つです。

ツルウメモドキはニシキギ科の落葉つる性木本で雌雄別株、山野の林縁に見られ、庭木にもされます。

ウメモドキに似ていてつる性のところから名前が付いたとされますが、ウメモドキはモチノキ科で花や実は似ていません。学名はCelastrus orbiculatusで、Celastrusはギリシャ語のCelastros(晩期)に由来し、実が完熟するのが遅い所からつきました。花言葉の一つにも大器晩成があります。開運と言う花言葉もあり、これは実が長い時間をかけて運のよい色とされる緑から黄そして赤へと変化していくことに由来します。

英名ではOrientalbittersuiteあるいはJapanesebittersuiteですが、赤い実は食べられるもののほろ苦いというよりはほぼ無味で、1月から2月に枝に残っているものには少し甘みがあるようです。

花期は5月から6月で黄緑色の直系6ミリから8ミリの花を付けます。果実は直径7ミリから8ミリで10月から12月に黄色に熟し、3つに割れて橙赤色の仮種皮に包まれた種子が「さあ、食べてください。」と言わんばかりに顔を出します。中には長さ4ミリ程の種子があります。庭木によく使われるのもこの実の美しさからです。

ツルウメモドキは1メートルくらいは自立できますが絡まるものがあると右巻きに巻き付きながら伸びていきます。長さは数メートルに達し、時には他の植物を覆いつくしてしまうこともあります。生け花やリースによく使われることからも庭に植えられますが、伸びて大変!なんてこともあるようです。これからの季節、たくさん切ってリースを作るとよいかもしれませんね。

花も葉もそれほど目だたなかったのが晩秋になってふと見上げたら黄色と赤のコントラストの美しい実が目につき、黄葉した葉が落ちた後も実は残ります。絡みついた木が落葉樹ならなおさら目を見張ることでしょう。

森の主役は野鳥たちに代わってきました。成虫越冬をしないチョウではヤマトシジミが遅くまで見られます。成虫越冬をするキタキチョウやルリタテハやキタテハなどはもうしばらくは見られます。

花の少なくなったこの時期にはコウヤボウキやヤツデ、園芸種のサザンカと限られた花に小さなアブの仲間などが訪れます。各地の紅葉の名所の便りが気になる季節。狭山丘陵ではこれから本格的になっていく11月です。

ツルウメモドキ

  ツルウメモドキの雄花

    ヤマトシジミ

 



狭山丘陵いきものふれあいの里センターは 公益財団法人トトロのふるさと基金が指定管理をしています