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秋の空高くルリシジミ~ふれあいの里だより令和6年10月号~

急に涼しくなったかと思ったのもつかの間。10月になっても真夏日の日が記録されていきそうです。

それでも日暮れの時間は随分と早くなり、次第にチョウの数も減ってきています。成虫で越冬しないチョウとしてはヤマトシジミほどではないものの晩秋までみられるのがルリシジミです。

ルリシジミは北海道、本州、四国、九州およびほとんどの周辺離島に分布するチョウで、年に4~5回発生を繰り返し3月下旬から11月ころまで見られます。

前翅の長さは12mmから19mmで、ヤマトシジミより少し大きく白っぽく見えます。林の周囲をせわしなく飛び、地面で吸水したり色々な花で吸蜜したりします。人家周辺でも見られ、分布域の広さに加え個体数も多く発生時期も長いので目にする機会が多いと言われますが、意外と出会った記憶が少ないのはじっと止まっていることが少ないからでしょうか。

チョウの幼虫は食草が限られるものが多い中、ルリシジミの幼虫はマメ科、ミズキ科、バラ科などさまざまな植物の花やつぼみを食べます。

食草を世代ごとに交代していくため地域や季節による発生頻度が一定しません。幼虫の体色は食べる花やつぼみの色に左右されるのも面白いものです。

シジミチョウの仲間の幼虫にはアリが付きまとうことが多いのですが、ルリシジミの場合も同様で、アリは触覚の先で幼虫のお尻の方にある蜜線付近を触れ分泌液を摂取します。アリは幼虫に近づくほかの生物には敵対行動をとるので、互いに利益を得て生きる『相利共生』の関係を築いています。

オスの翅表は名前の由来ともなった鮮やかな青、瑠璃色というよりは水色で、メスは外縁の黒帯が広く中央部分に帯白青色の部分があります。ヤマトシジミ、ツバメシジミ、ルリシジミの普通種シジミ3種の中では最も高い空間をやや活発に飛び、オスは樹冠で縄張りを宣言するかのようにぐるぐると周回します。

蛹で越冬し、北国ではいち早く春の訪れを知らせるチョウと言えます。

青空に溶けこむかのようなルリシジミの姿が見られるのはいつまででしょう。

昆虫たちに出会える機会も次第に減ってきます。秋は年々短くなってきているように思えます。野鳥たちは移動中のものも多くざわついています。色づいた木の実は格好のごちそうです。

秋の夜長は始まっています。15日は豆名月、栗名月とも呼ばれる十三夜で、14日の夕方から15日の未明にかけては月と土星が接近します。17日の満月は今年最も大きく見え、スーパームーンとも呼ばれます。23日の深夜から24日の明け方にかけては下弦前の半月と火星が接近します。紫金山・アトラス彗星も注目されています。10月上旬までは明け方の東の低空、中旬以降は夕方から宵の西の空で見えると期待されています。長く尾を引く姿が期待されますが、双眼鏡だと見つけやすいかもしれません。

ルリシジミ

        オトコヨウゾメ

        クリ



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