丸い目がチャームポイント、コチドリ~ふれあいの里だより令和7年5月号~
最高気温が10度以下でスタートした4月。中旬以降は夏日の日に加え30度に迫る日もありました。これまでの異常気象が通常になりつつあるみたいで気がかりです。
目には青葉 山ほととぎす 初鰹
江戸時代の俳人、山口素堂の有名な句でまさに五感で初夏を感じさせてくれます。今年の立夏は5月5日ですがすでに初夏の装いが強くなっています。
5月10日からは愛鳥週間。全国各地で野鳥保護に関するイベントなどが行われますが、ホトトギスをはじめ日本で繁殖するために渡ってくる野鳥たちとの出会いも楽しみな時期です。
コチドリもチドリの仲間では珍しい夏鳥として、早いものは3月頃渡来し、九州から北海道で繁殖しています。西日本以南では越冬しているものもいます。
全長は16cmでチドリ類の中で最も小型であるところから『小千鳥』と付いたと言われます。
丸い目が愛らしく黄色いアイリングが特徴で、若鳥では不明瞭になります。くちばしは黒く、長い足は黄色。胸には明瞭な黒帯があり前面でつながります。この黒帯はメスの方が細くなります。飛んだ時には翼に白帯が出ません。
巣は海岸や川の中流以下の砂礫地や地肌むき出しの荒れ地などに造ります。浅い窪地を掘り小石や貝殻、小枝などを敷いた巣に3~4個の石にそっくりな卵を産みます。親鳥は巣に天敵が近づくと雛には動かないように鳴き、自身は『擬傷行動』と呼ばれる傷ついたふりをして敵の前に出て注意を自分に向けさせ、巣から離れ敵を遠ざけます。雛も動かないとまるで石のようです。
餌は水田や池沼畔、川原など淡水の水辺で水生の小動物やミミズ類などを捕ります。チドリ類の採餌方法である地上を足早に駆けては止まり、ついばんではまた駆けてという動作をして餌を探します。ユスリカ類などの小型昆虫類をよく食べ、浅い水辺で片足を震わせて水生昆虫の幼虫などを追い出して捕らえたりもします。営巣地に近くても干潟や砂浜へは出ません。
普段は「ピウ ピウ」といった甲高くか細い声で鳴きますが、繁殖期には「ピォ ピォ ピピピピピピピュー ピュー」と賑やかに鳴いて飛び回ります。5月から6月は雛が生まれる時期。涼やかな水辺を散歩しているとコチドリに出会えるかもしれません。とても警戒心が強いので、ちょこちょこと歩き回る姿を見つけたら静かに見守ってください。巣に近づきすぎて擬傷行動されないようにご注意を。
立夏の日の埼玉の日の出は4時45分。東の低空で明けの明星としてまぶしく輝いている金星はこの頃土星と接近します。23日の未明から明け方には細い月と土星が接近、翌日は月と金星が接近します。この頃日の出の1時間前と言えば3時30分頃となります。夜空では北の空に北斗七星が見やすくなっています。ここからおとめ座のスピカへと続く春の大曲線を南へたどると大きく空を見渡すことができます。
木々の白い花たちも咲くのが早くなり、かつては5月頃に見頃だったものが4月に終わってしまうものが多くなりました。ネジキのスズランを思わせるような小さな花が早くも咲き、森はグリーンシーズンとなります。田畑や土手、里山と至る所でチョウに出会える季節です。それぞれの場所で違ったチョウとの出会いが楽しめることでしょう。年に一度発生するゼフィルスの仲間たちもそろそろ出始めます。
![]() コチドリ |