1. TOP
  2. TOP
  3. 馬宿る植物たち~ふれあいの里だより令和8年1月号~

ここから本文です。

馬宿る植物たち~ふれあいの里だより令和8年1月号~

今年は丙午(ひのえうま)年ということで、馬と名のつく植物名を探ってみたところ、身近な生きもので大切にされてきた割にはそう多くはありません。ただ、地方名などだとかなりの数があります。これは親しみを込めて思い思いに『馬』とつけて呼んできたからかもしれません。

ウマノスズクサは果実の形が馬の首につける鈴に似ているから付いたとされ、ウマノミツバは葉が三つ葉に似ているが、食用にならないことから馬の餌ぐらいにしかならないというところから名前が付いたという説が有力です。江戸時代に牧草として渡来したヨーロッパ原産のウマゴヤシは優れた馬の飼料になることからついたとされます。ウマノアシガタは根生葉が馬の蹄に似ていることから付いたとされます。ウマスゲは草丈が大きいことから牧野富太郎が命名したとされ、これは日本語では大きくて立派なものをさすときに馬をつけることからとされます。コマクサは花の形が馬(駒)の顔に似ていることから名前が付いたとされ、コマツナギは茎や根が馬をつないでおけるほど丈夫であるからという説と葉が馬の好物で馬を繋ぎとめるからという説などがあります。

隠れ馬的なものにアセビ(馬酔木)、マテバシイ(馬刀葉椎)やオシダ(綿馬)があり、トクサの英名はHorse Tailです。

センターエリアにもあるウマノスズクサは本州の東北南部以西、四国、九州、沖縄の日当たりの良い場所に生育するつる性の多年草です。全体に無毛で粉白を帯びます。茎は細く丈夫で分岐してほかのものに絡みつきます。6月~9月に花弁の無いサクソフォーンのような形をした花を咲かせます。花の先端部分には内側に向いた毛が密生していて虫が入りやすく出にくい仕組みになっています。雌性先熟で糞や腐肉のような匂いで虫を引き寄せ6個の花柱が集まっている奥の球形の部屋へと誘います。おしべが花粉を出すようになると毛が委縮し虫が花粉をつけて外へ出られるようになります。果実は熟すと6つに裂開し、長い花柄の先にぶら下がります。中には扁平な種子が多数入っています。

センターではジャコウアゲハの幼虫の食草ということもあり保護するようにしていますが、これまで実を見たたことがありません。ここだけに限ったことではなく結実性が低いようです。幼虫の食欲はすさまじいもので葉を食べつくし茎から根本まで食べつくしやがて共食いすることもあります。ただウマノスズクサの繁殖力も負けず劣らずで、食べつくされてもまた芽吹き、結局はチョウの発生時期とずれることで残っています。

ウマノスズクサは腎毒性と発がん性を有するアリストロキア酸などを含む有毒植物で、かつては生薬として利用されていましたが、現在では薬用とはされていません。ジャコウアゲハはこの毒を体内にため込むことで鳥に食べられるのを防ごうとしていると考えられます。

繁殖力旺盛なウマノスズクサですが結実率が低いことや、日当たりの良い野原や河川敷などの環境が減ってきたり、また除草されてしまったりすることにより数を減らしているようで、この先絶滅危惧種にならないとも限りません。一度は実を見てみたいものです。

5日が小寒で20日が大寒と暦の上では最も寒い時期ですが、元旦の埼玉での日の出は6時51分、12日に6時52分と一番遅くなり、その後少しずつ早くなっていきます。12月8日から日の入りはすでに遅くなっていっています。

今年最初の満月である1月3日の宵から4日の明け方には月と木星が接近します。4日の未明から明け方にかけては三大流星群の一つ、しぶんぎ座流星群の活動が極大となり見ごろを迎えます。月明かりの影響は大きいですが新年に願いを込めて星空を見上げるのも良いのではないでしょうか。23日の夕方から宵にかけては南西の空にやや細い月と土星が接近します。今月は夜半の明星とも呼ばれる木星と土星しか惑星は見えませんが見応えは十分です。

木の実も残り少なくなり、花も少ない時季ですが、光の春に成虫越冬しているチョウの姿やさえずりの練習をする野鳥の声も聞こえてくるかもしれない1月。丙午は火の力が重なるとされ、情熱や勢いが高まると言われます。希望に満ち溢れ、天翔ける天馬のように活気あふれる一年となりますように。

ウマノスズクサ

   ジャコウアゲハの幼虫

    センリョウ



狭山丘陵いきものふれあいの里センターは 公益財団法人トトロのふるさと基金が指定管理をしています