森に溶けこむヤマシギ~ふれあいの里だより令和8年10月号~
関東甲信地方では記録的な雨続きだった9月。台風も多くの被害をもたらしました。10月は秋晴れを期待したいところです。
野鳥たちは移動の季節を迎えています。南の国へ行く鳥や北から冬越しにやってくる鳥のほかに日本より北の地で繁殖し、日本より南へ冬越しに渡っていく途中、日本に立ち寄る鳥もいます。代表的なのはシギやチドリの仲間たちで、秋は8月ころの成鳥から10月頃の今年生まれた若鳥までと渡りの期間が長くなっています。
渡りの季節に通過するのではなく日本で繁殖し、冬には積雪や凍結の無い関東地方以西に移動しているのがヤマシギです。
ヨーロッパ・アジア大陸の中緯度地域で繁殖し、冬季はやや南へ渡ります。北海道では夏鳥として見られ、本州中部以北と伊豆諸島で繁殖し、西日本では冬鳥として見られます。
ヤマシギは全長35cmで、ハトくらいの大きさです。太い体に短めの足、頸はシギとしては短めで、くちばしはまっすぐで長めです。ほかのシギ類が干潟や川、沼、水田など浅い水辺周辺に生息するのとは異なり林の中に生息しています。そこから山にすむシギの意で、ヤマシギと名前が付いたとされます。
おもに夕方から夜間にかけて活動し、落ち葉の堆積した場所や林の中の水辺でミミズなどを採餌しています。昆虫類の幼虫や陸生貝類なども食べます。夜行性ということもあり大きな眼をしていてほかのシギ類と比べて位置は後方上部にあります。これにより両方の眼で360度見ることが可能で地面で採餌する際に上空や地上からの危険を察知するために有効だと考えられます。
昼間は暗い林内に潜んでいることが多いのですが、谷戸のようなところでは水田や畑、草原などに出て来て餌を探すことがあります。
越冬中は1羽で行動していることが多くほとんど鳴くこともありません。4月~6月に林の中の地上に巣を造り、朝夕に営巣地の上空を「ブゥー ブゥー」と低い声で鳴きながら飛んだり、「チキッ チキッ」「チキッ チキッ ブゥーブゥー」などゆっくりしたテンポで繰り返しながらディスプレイ飛翔をしたりします。
体中にある褐色、黄褐色、黒褐色などの斑紋や縞模様は地面で保護色となりなかなか見つけることは難しく、林の中で昼間いても気づかないことも多いことでしょう。夜行性ということもあり見る機会は少なく、狭山丘陵周辺での記録も多くはありません。でも身近にいるはずで、昨年所沢市内で変わり果てた姿で発見された個体を当センターで、はく製にして展示しています。移動するものもいるこの時期、どこかでであうかもしれません。
まだ残暑の日もある10月、青空の下チョウやトンボ、小さなハエやアブの仲間などを目にすることができるでしょう。
この秋から冬にかけて夜空の主役となるのは土星。24日の夕方から未明に月と並びます。月は5日の未明から明け方にかけてと6日未明は火星と並び、7日未明から明け方には木星と接近。13日夕方には西の方の空で水星と並びます。23日は上弦でこの日は後の月、十三夜で栗名月や豆名月とも呼ばれます。この日は朝晩の冷え込みが厳しくなり霜が降り始めるころとされる『霜降』でもあります。暦の上では秋も終わりを告げようとしています。
26日は満月でアメリカの先住民にとっては冬を前に本格的な狩猟を始める時期であることからハンターズムーンと呼ばれます。
オリオン座流星群のピークは22日午前3時頃と予測されているので明るい月が沈んだ後で丁度良いかもしれません。
山では紅葉の見ごろとなってきます。移動中の野鳥との出会いや名残の虫たち、咲き始めたサザンカの仲間や晩秋を告げるかのようなヤクシソウの花たちとの出会いも楽しみながら散歩を楽しみたい季節となりました。
ヤマシギ(はく製) |


