月見る月~ふれあいの里だより令和8年9月号~
今年の9月も厳しい残暑が続くと予想されているものの、23日の秋分の日に向かうにつれ昼間の時間は短くなり、夜には少しほっとできるようになって来ることでしょう。
9月のイメージが強いかと思われるお月見ですが、昨年のように中秋の名月は10月になることもあります。そして満月の日とは一致しないことが多いのです。十五夜は毎月訪れますが中秋の名月は旧暦の8月15日の月をさします。新月から満月までは平均すると14.8日で、月の軌道が楕円であることなど様々なことから満月と十五夜はずれてしまい、今年の中秋の名月は満月の2日前になります。旧暦では7月から9月が秋で8月が中秋となることから8月の十五夜の月が中秋の名月と呼ばれます。
太陽が高く輝く夏は月は低くなり、太陽が低くなる冬には月は高く輝くようになります。そして春と秋はその間でちょうど見やすい高さとなるのですが、大気が水蒸気を多く含む春より乾燥した秋が一年で一番月を愛でるのに適した季節と言えます。まさに月々に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月(よみ人知らず)です。中秋無月や曇名月などと呼び、天気は悪くても月に思いをはせたようです。
月の動きを基準とした暦を使っていたこともあり、月に関する言葉も数多くあります。万葉集には200首前後月に関するものがあります。三日月や満月は今でもよく使いますが、小望月、十六夜、臥待月、有明の月など月の満ち欠けにより名前があり、十五夜だけではなく日々月を見て暮らしていたことがうかがえます。
お月見と言えばススキ。ススキと団子を備えるのが定番で、この時期は里芋の収穫期と重なるので里芋を備えることから芋名月とも呼ばれます。ハギ、ススキ、クズ、オミナエシ、フジバカマ、ナデシコ、キキョウ。ススキは秋の七草の一つです。万葉のころはハギと言えばヤマハギやツクシハギで、平安時代になると中国から輸入されたミヤギノハギをさすようになったとされます。センターエリアではハギと同じマメ科のヌスビトハギが8月から咲き続けています。ハイメドハギやネコハギも続きます。クズも良い香りを漂わせて咲いていました。花期は早くなってきていて、ススキも穂を出しています。野で見ることが少なくなった秋の七草、オミナエシ、フジバカマ、ナデシコ(カワラナデシコ)、キキョウは埼玉県絶滅危惧種となっています。
日本では月でウサギが餅をついていると言われてきましたが、夜行性で警戒心の強いキュウシュウノウサギ。月夜に野を駆けているかもしれません。
万葉の時代には心情や自然の美しさを表す象徴的なものとして扱われることが多かった月は平安時代には鑑賞の対象となっていきました。
久方の月の桂も秋はなほ紅葉すればやてりまさるらむ 古今集にある壬生忠岑の和歌ですが、お月見は平安時代に中国から伝わった風習で、中国では月にはカツラの木があると考えられていました。カツラが紅葉して月をさらに輝かせているとは幻想的で素敵な光景です。センターエリアにあるカツラは暑さと乾燥のせいか早々に多くの葉を落としました。香ばしい香りを残して。
4日は下弦で11日は新月。月は細くなっていきます。東方の空で7日未明から明け方には火星と、9日未明から明け方には木星、そして14日の夕方には西南西の低い空で金星と満ちていく月が接近します。宵の明星の金星はそろそろ見納めになり、宵の空では土星が見やすくなってきました。
ツヅレサセコオロギ、エンマコオロギ、カネタタキ、虫の音が最も多く聞かれる時期です。
数を増やしたイチモンジセセリ。よく見ると他のセセリチョウもいます。チョウの姿も増え、アキアカネが山から戻り、赤トンボの仲間が目につくようになります。野鳥の声も賑やかになってきました。
来月の十三夜は日本で生まれた風習です。後の月も楽しめますように。
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