サザンカ(山茶花)咲いて冬の始まり~ふれあいの里だより令和8年11月号~
期待していた秋晴れが続いた10月ですが、記録的な夏日や真夏日が観測されました。下旬になり急に冬を思わせるような日もあり、そして11月7日は『立冬』。埼玉で日の入りは16時41分でまだまだ日暮れは早くなっていきます。日暮れが早くなると秋の深まりはさることながらどこか物寂しさも感じられます。成虫越冬するキタキチョウやキタテハはもうしばらく見られそうですが、幼虫で越冬するヤマトシジミの姿は間もなく見られなくなることでしょう。
花が少なくなった中、園芸種のサザンカが庭や公園などで次々と咲きアブの仲間やハナグモの仲間、数少なくなったチョウなどの人気を集めています。
中でも生け垣などによく使われるカンツバキは目にする機会が多い種と言えます。カンツバキ(寒椿)はサザンカの園芸品種とされていますがヤブツバキとサザンカの自然交雑との説もあります。一般的に枝は横に広がり樹高は1mから2mで、枝が上に伸びる立性の品種をタチカンツバキと言い、3m~5m、時には6mほどになるものもあります。勘次郎とも呼ばれ、愛知県の服部勘次郎さん宅の老木がもととなったことに由来し、Camellia×hiemalis‘Kannjirou’という学名にもその名が残っています。
ここで気になるのはサザンカとツバキの違いかもしれませんが、一番簡単なのは、ツバキは花がぽとりと丸ごと落ち、サザンカは花弁が1枚ずつ散ります。どちらもツバキ科の常緑広葉樹で園芸種が多く作られているところも共通します。
また、ツバキと言う種名はなく、ヤブツバキ、ユキツバキと種名が付いているのですが、サザンカは総称として使うだけでなく、サザンカという種名のものが存在します。サザンカは別名オキナワサザンカという名があらわすように、本州は山口県、四国、九州、沖縄に自生する日本固有種です。山地の林内や林縁に生育し花期は10月~12月で、直径5㎝~8㎝の白い花を付けます。花弁は5~7枚でほとんど離れて平開します。
学名ではヤブツバキはCamellia japonica、サザンカがCamellia sasanquaで、ヤブツバキの方にはジャポニカと付いていますが日本に自生するほかに台湾や朝鮮半島にも自生しています。サザンカは前述の通り日本の固有種です。
花の形を見てみるとツバキの花は立体的で厚みがあるのに対してサザンカは平面的で平たく薄くなっています。中心部には茶道で使う茶筅のようにおしべが集まっているのがツバキでサザンカは基部だけがくっつき先は離れています。サザンカの花が香る特性を引き継ぎ、カンツバキもほのかに香ります。
冬に凛と咲くヤブツバキとサザンカですが、サザンカの方が少し早く、品種にもよりますが晩秋から咲き始めます。狭山丘陵で観られるのは園芸品種のサザンカで、多くの種類のものが次々と冬を生きる虫たちや人の目を楽しませてくれます。
早くもタチカンツバキの花弁の絨毯が広がっているセンターエリアですが、つぼみもまだあるので立冬を過ぎても楽しめそうです。七十二候では立冬の初候は『山茶始開(つばきはじめてひらく)』山茶は中国ではツバキ科の総称で、山茶花(さんさか)が訛った茶山花(ささんか)からサザンカと名前が付いたとされています。冬の始まりを告げるサザンカの花です。
夜は長くなっていきます。11月3日の未明から明け方の東の空で下弦を過ぎた月と木星が大接近し、その上には火星が輝きます。下の方にはしし座の1等星レグルスが見られ色も明るさも違う天体が集います。8日の明け方には東南東の低空で細い月と明けの明星金星の共演が見られます。金星のそばにはおとめ座のスピカ。13日にはおうし座北流星群が極大で18日にはしし座流星群が極大。この日はお月見の最後を締めくくる十日夜でもあります。とはいえ月を愛でるよりは収穫祭の意味合いが強いので新暦の11月10日に行事を行う地方も多いようです。24日は満月で今年最も大きく見えるスーパームーンです。30日から12月1日の明け方にかけて今度は下弦前の月と火星、木星が接近しレグルスはその中で共演します。
紅葉から落葉へ。楽しくもあり寂しくもありですが、野鳥観察には絶好の季節となっていきます。秋から冬へそれぞれの季節が楽しめますように。
タチカンツバキ |


