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ツマキチョウ 桜とともに(所沢市HP「ふれあいの里だより平成31年4月号」より)

今年も桜が3月に満開となった狭山丘陵周辺。桜の開花とともに目覚めるとも言われるのは春の妖精(スプリングエフェメラル)ツマキチョウ。

ツマキチョウは北海道から九州の各地に分布し平地から低山地に多く、山地では渓谷地帯に見られます。年1回早春に発生し、それはその地域の桜の開花期とほぼ等しいとされます。とは言え発生は一定せず、遅くは7月に静岡で記録されています。

蛹で越冬し、一定期間低温条件にさらされることにより休眠が破られるという事なのでこの点も桜と同じようです。ただ翌春羽化するとは限らず、3年目、4年目での羽化例もあります。

白いチョウといえばモンシロチョウ、次いでスジグロシロチョウがお馴染みですが、ツマキチョウはやや小さく直線的に飛び、林道などでは道に沿って飛ぶ習性があるので、慣れれば遠目でも見分けられます。

いろいろな花に吸蜜に訪れるもののなかなかじっとしていてくれませんし、日が陰ると出てきてくれません。陽ざしがあり気温が低めの時が観察のチャンスです。止まると鈎状をした前翅の端の形、裏は他には見ない変わった斑紋ですぐにツマキチョウと分かります。

オスの前翅の表の端が橙黄色をしているところから褄黄蝶と名前が付きました。メスにはこの色彩がないので雌雄の区別もつけやすいです。翅の裏の複雑な模様は絶妙な保護色。気が付かずに近づいて飛び立たれてしまうこともあります。

幼虫の食草はアブラナ科の花や果実で、卵は食草の花穂に産み付けられます。ハタザオ、タネツケバナ、イヌガラシなどが好適で、栽培の蕪や小松菜なども食べることが知られています。ショカツサイ、カキネガラシ、セイヨウカラシナなどの帰化植物も食草としているようです。

とりわけ数を増やしているショカツサイを食べることによりツマキチョウの数が増えてきたとも言われています。ハナダイコン、ムラサキハナナ、オオアラセイトウといくつも名前を持つショカツサイは都会で多く見られます。ツマキチョウの新天地はこうして都会となってきていると考えられています。

ツマキチョウは国外では朝鮮半島、中国(西限は四川省、南限は広東省北部)、ロシア沿海州に分布する東アジア特産種で、日本のものは日本固有の亜種です。数もそう多くはなく一生の大半を蛹で過ごすツマキチョウ。駆け抜ける桜前線とともに春の妖精の姿を探してみたいものです。

日ごとに見られる草や木の花もチョウの数も増えてきます。桜の仲間も最後にウワミズザクラが咲き桜の季節も終わりかと思っていると、気がつけばヤマザクラはもう若い実をつけています。

ツバメも南の国から子育てに帰ってきています。シジュウカラやヤマガラのさえずりが高らかに響きます。初々しい木々の芽吹きの香りも運んでくれるようなかぐわしい風は鳥たちの歌も運んできます。木々の葉がまだあまり茂らないゴールデンウイークのころまでは木の梢などでさえずる姿が見やすく、まだ残っている冬鳥や渡ってきた夏鳥など移動中のものもいて、野鳥観察によい季節です。

埼玉県で4月1日の日の出は5時29分で日の入りは18時3分。4月30日では日の出は4時51分で日の入りは18時27分になります。夜明けが早くなりますが火星以外の惑星が夜明け前の空で見られます。2日は金星、24日は木星、26日は土星と月が寄り添います。清少納言が枕草子に記したように『春はあけぼの』を楽しんでみるのも良いのではないでしょうか。

ツマキチョウ オス

 ツマキチョウ メス

 ショカツサイ

      ウワミズザクラ



狭山丘陵いきものふれあいの里センターは 公益財団法人トトロのふるさと基金が指定管理をしています